北海道・室蘭市の栗林商会を興した三条市出身・栗林五朔のひ孫が三条市長を訪問 (2023.10.8)

三条市長は競走馬をきっかけに栗林五朔を知る

競走馬をきっかけに新潟県三条市の滝沢亮市長も知ることになった三条市西大崎出身の実業家で政治家、栗林五朔（くりばやしごさく・1866-1927）は、明治時代に北海道室蘭市で実業家、政治家として活躍した。五朔が興した株式会社栗林商会の4代目、栗林和徳代表取締役(65)が6日、滝沢市長を訪問した。

左から滝沢市長、栗林和徳さん、宜徳さん

得太郎は自宅の庭園を校舎の敷地に寄付して私財を投じて新校舎建築

五朔の父、得太郎（1846-84）は1872年（明治5）、学制発布に伴って敦田村（今の三条市鶴田）に開いた私塾を学校として開校した。その後、西大崎の宝蔵寺を仮校舎として西大崎校を開校。1878年（明治11）に自宅の広大な庭園を切り払って西大崎校の校舎の敷地として寄付し、新校舎を建築した。私財を投じて地域に貢献した篤志家だった。

1892年（明治25）に長男で蒲原郡西大崎村出身の五朔が室蘭の札幌通りに栗林酒店を開業。以降、海運業や登別温泉の開発などに尽力し、現在の栗林商会の礎を築いた。栗林商会は創業130年を超え、今も室蘭市に本社を置いて運輸や商事、保険、旅行業などを行っている。従業員数286人（ことし3月31日現在)、年商372億円（2022年度）。

左が栗林得太郎、右が五朔

三条市に7.13水害見舞金、企業がふるさと納税、史料館に資料提供で貢献

2005年、五朔の子孫でつくる「栗林三条会」は、その前年に 7.13水害に見舞われた三条市に見舞金30万円を寄付した。昨年12月、栗林商会と三条市の生涯学習課職員が室蘭市の五朔ゆかりの地を訪問し、栗林社長に滝沢市長の親書を手渡した。

ことし6月には、栗林商会が三条市に100万円の企業版ふるさと納税を行い、「子どもが健やかに育つ環境づくり」に寄付。さらに8月、歴史民俗産業資料館リニューアルに伴い、栗林商会が三条市に栗林家の展示資料を提供した。

歴史民俗産業史料館に展示されている栗林商会が提供した栗林家の資料

名馬「ライスシャワー」の馬主が栗林運輸会長と知り五朔にたどり着く

こうした史実を滝沢市長はひょんなことから知った。滝沢市長は実は競馬ファン。1990年代前半に菊花賞や天皇賞を制した名馬「ライスシャワー」の馬主が栗林商会のグループ会社、栗林運輸の会長だった栗林一族の栗林英雄さんであることを2年ほど前に知った。それを糸口に五朔にたどり着いた。

得太郎の墓が三条市の浄円寺にあり、20年ほど前から年に1度、「栗林三条会」と称して新米のおいしい秋に親族が集まって墓参りをしている。滝沢市長もかねてから和則さん感謝の気持ちを伝えたいと考えており、今回は栗林三条会で来条したタイミングで市役所に立ち寄ってもらった。

3人で歓談

和則さんは長男の栗林宜徳常務取締役(36)とともに市役所を訪れた。和則さんは手土産に室蘭カレーラーメンを滝沢市長に、滝沢市長から和則さんにはパン切り包丁をプレゼントした。

和則さんは家系図を広げて栗林一族の歴史を紹介した。この前日には三条市から北海道へ渡って百貨店グループ「丸井今井」の礎となる呉服店を始めた今井藤七（1850-1925）の子孫にあたる鉄鋼や建材を扱う今井金商株式会社（北海道札幌市中億）の今井國雄代表取締役会長と会った。

記念撮影

加茂市出身の女子プロゴルファー若林舞衣子さんとコースを回ったことなどを話し、「新潟の人は田中角栄や大成建設の大倉喜七郎のように外へ出て偉くなって故郷に帰ってくると聞いた。われわれも及ばずながら会社をつぶさないように頑張ります」と話した。

栗林五朔がいなければ「ここは北国登別の湯♪」はなかった。

訪問のあと滝沢市長は、ザ・ドリフターズの『いい湯だな』の「ここは北国登別の湯」の歌詞はなかったんじゃないかと言い、間もなく就航する航空会社「トキエア」で室蘭を訪問する意を固くしていた。