タケノコの産地で知られる新潟県田上町で、ことしも田上のタケノコで「たがみメンマ」を作るプロジェクトが始まった。ことしは地元の田上中学校(小野浩校長・生徒228人)がメンマ作りを手伝いたいと20日、3年生70人余りが学校でメンマ作りの下処理を行った。
長さ1.5メートル前後の田上産のタケノコ24本を用意した。3年生は12班に分かれて1班がタケノコ2本ずつを校舎玄関前で下処理した。
作業は包丁を使ってタケノコの先端を切り落としてから縦に真っ二つに切り、皮を向いた。根元から下部、胴、穂先の3つの部分に分けて切り、節の内側を包丁で切り取るところまで、カット作業だけ行った。
大きくなっているタケノコなので一見、かたそうだが、実際にはそれほど力を入れなくても包丁がすっと入る。ふだん包丁を扱っていない中学生は、ぎこちなく包丁を使った。予想外の柔らかさに「おーっ!」と声が上がることもあった。
生徒は「難しい。思ったより柔らかいけど、かたいところは切りにくかった」。ただ、ふにゃふにゃのメンマと比べればはるかにかたく、「もうちょっと柔らかいと思ったけど案外、かたかった」と、これがメンマになることを想像しにっかった。
3年前から「道の駅たがみ」が中心となって実行委員会を組織し、秋の夜に田上の竹林を竹あかりで彩るアートをメインとした「たがみバンブーブー」プロジェクトに取り組んでいる。町外はもちろん県外からも集客して年々、注目が高まっている。
昨年は道の駅たがみで田上中3年生がプロデュースする「たがみバンブーナイト」を開いた。3年生がステージイベントやタケにちなんだオリジナルの飲食、グッズの企画販売などを行った。
プロジェクトでは、ほかにも放置竹林の解消を目的に、田上のタケノコにこだわった国産メンマ「たがみメンマ」を作ることにも挑戦して、ことしで3年目になる。
ことしは小野校長からぜひ生徒にもメンマ作りを体験してほしいと実行委員会にもちかけた。準備期間が足りなかったので、ことしは試験的に実施。このあとどんな作業を手伝うかや、生徒が手伝って作ったメンマをどういう形で販売するかもまだ決まっていない。たがみバンブーナイトはことしも3年生の企画で開催予定だ。
2年続けて田上の学校給食の献立にたがみメンマを使ったラーメンが登場している。長岡生姜醤油ラーメンを愛する小野校長。メンマにも目がない。
小野校長は「メンマ作りは大変だから、子どもたちが手伝えば作業が楽になると思った。わたしはメンマが大好きなので、たがみメンマをいっぱい販売してくれたらうれしいので、最初はお手伝いができたらいいと思った」。
ただ、「いろいろと皆さんも忙しく、ことしはこの形でとりあえずやってっみましょうと。来年以降はもっと子どもたちが手伝ったりできるかもしれない」と、ことしを皮切りに田上中のメンマ作りが定番化し、作業内容が拡大していくことを期待した。
道の駅たがみの馬場大輔駅長は「去年から中学生とやりたかったけど、バタバタでできなかった。ことしは1年がかりで準備した。本当はゆでて、塩漬けまでやれたらおもしろい」と言う。
中学生がかかわってくれるのは、もう最高、中学生にとってもしっかりした種まきになり、こんなタケだったって家に帰ったら言うだろうし、ぼくらにとっても中学生と接すると、元気をもらえて次につながるパワーになるからすごくいい」と感謝している。