新潟県三条市は下田地域の1中学校と5小学校からなる小中一貫教育「しただの郷学園」の小学校の統廃合の検討を進めている。21日から各小学校で順に将来を見据えた下田地域の小学校の在り方について「しただの郷学園懇談会」を開いており、初日21の長沢小学校で開いた懇談会で、5小学校を1校に統合し、2028年(令和10)4月開校を目指すのが望ましいとの考えを示した。
長沢小の懇談会には、保護者や地域住民ら57人が出席した。高橋誠一郎教育長はじめ三条市教育委員会、滝沢亮市長も出席し、これまでの下田地域の統廃合の検討の経緯や児童数の推移、統廃合の必要性や方針などについて説明した。
三条市の小学校と義務教育学校前期課程の児童数が減少するなか、さらなる減少を見据えた将来の学校の在り方を総合的に検討するために昨年1月、三条市未来の学校検討委員会を設置し、これまでに4回、検討委員会を開催して提言書をまとめた。三条市教育委員会はこの提言を尊重して検討を進めてきた。
2015年に策定した三条市立小・中学校の適正規模・適正配置に関する基本方針では、小学校の適正規模は全校12学級、各学年2学級以上が望ましく、統廃合検討を始める基準は複式学級が2学級編成の著しく小規模な状況が継続する場合としている。
将来のさらなる児童数減少を踏まえると、5小学校を1校に統合するのが望ましいとした。統廃合にはさまざまな項目の検討、判断に一定の時間が必要なことから28年4月開校を目指すとした。
出席者からはさまざまな質問があり、1時間ほど質疑応答が続いた。統合は新校舎を建設するのか、既存の校舎を活用するのかという質問に滝沢市長は「現時点で新しい校舎をゼロから建てることは考えていない」と答えた。
さらに校舎をどこにするかは市教委で最終決定する。下田中学校校舎を使った小中一体校は2028年の統合ではキャパシティー的に難しいとした。
保護者からは、学校が変わると不安、統合された学校の体操着や物品の購入が負担になる、統合を子どもたちにどう伝えるのかといった声や、閉校する学校の避難所としての役割をどう考えるのか、統合しても児童が減少して再び複式学級ができて小手先の対策なのではないかといった質問があった。
このあとの懇談会は、6月13日笹岡小、17日大浦小、19日森町小、20日飯田小でいずれも午後7時から開く。