新潟県加茂市は、県内の自治体で初めて耳が聞こえない、聞こえにくい人のコミュニケーションを支援する「遠隔手話・文字通訳サービス」を6月、開始した。
このサービスは、スマートフォンやタブレットでインターネットを介し、通訳センターのオペレーターにつないで、ビデオ通話形式で手話か文字チャットによる即時通訳を利用できる。
利用時間は、休まず毎日午前8時から午後9時まで。市役所をはじめ市内の公共施設と公共的サービス機関の窓口で利用できる。個人のスマートフォンやタブレットでも利用できるが、公共施設などに設置している「かも防災・行政ナビ」専用タブレットでも利用できる。
防災アプリ「かも防災・行政ナビ」を利用すれば、メニュー欄にある「くらし情報」の「手話・文字通訳」ボタンから簡単に利用できる。「かも防災・行政ナビ」専用タブレットを配置していない場所でも、公共施設の窓口に設置してあるQRコードをスマートフォンで読み込んでも利用できる。
このほか、通訳オペレーターによる「代理電話」サービスもある。市役所や公共施設へ行かなくても、聞こえる人と同じように電話で問い合わせができ、用件を済ますことができる。
さらに、救急隊員のスマートフォンにも搭載し、救急現場でも手話、文字による会話ができる。意思疎通が可能になることで、命にかかわる救急現場で速やかに適切な処置が期待できる。
災害時の避難所での活用も想定している。生活情報や生活再建のための情報をもれなく伝えられ、心理的な不安も軽減できる。サービス導入で耳の聞こえない、聞こえにくい当事者だけではなく、市の職員がふだんから遠隔手話通訳の利用に慣れておくことで、緊急時・災害時のスムーズな利用が実現する。
「加茂支えあい条例」と「加茂市手話言語条例」に基づく施策で、障がいのある人のコミュニケーションを支援する、意思疎通支援事業の一環。ほかにもこれまでの手話通訳者や要約筆記者といった意思疎通支援者の派遣も利用できる。
引き続き、耳の聞こえない、聞こえにくい人の利便性を図っていく。詳しい内容は市のホームページか広報かも6月号にある。