5月10日未明に新潟県三条市の繁華街「本寺小路」で発生した火災で10棟が被災した。被災店舗は営業継続が困難な状況で、早期の再建支援が求められ、本寺小路へ客足も遠のくことも心配されることから、被災店舗が所属する地元飲食関連組合など8団体が滝沢亮市長に緊急支援の要望書を提出。被災現場がれきの撤去に対する支援、事業再建に対する補助措置の実施、企業版ふるさと納税制度を活用した再建支援プロジェクトの創設を求めた。
この火災は居島地内で商業ビルの飲食店から出火。全焼5棟、半焼1棟、部分焼2棟、水損2棟の10棟が被災した。全焼のなかには複数の飲食店などが入居する商業ビルもあり、被災店舗は被災棟はさらに多い。全焼したクリーニング店は新しい機械を導入したばかりだった。
要望書では、多くの会員店舗が火災で甚大な被害を受け、すべての被災店舗が営業継続が困難な状況で、早期の再建支援が強く求められ、被災した事業主を助け、その雇用を維持し、地域経済と伝統的飲食文化を守る観点から緊急支援措置を講じてほしいとしている。
がれきの撤去費用が事業再建を困難にしているため、店舗内産業廃棄物含むがれきの撤去への迅速で手厚い支援、事業再建に対する通常融資とは別の被災事業者向けの低利・長期返済の融資制度の新設、中小企業診断士など専門家による再建計画づくりの支援体制構築、市が再生プロジェクトを立ち上げて企業からの寄付を暮り、被災飲食店への支援と本寺小路活性化に活用できる仕組みを求めた。
三条商工会議所の金子太一郎副会頭と三条商議所サービス業部会の石川友意部会長、三条酒場組合の関能宏組合長が6日、市役所を訪れて滝沢市長に要望書を手渡した。
このタイミングに合わせて要望書の提出を知った3人の被災者が市役所玄関で一行を出迎えて、要望を託した。
石川部会長は、被災店舗のうち8件が県央食品衛生協会に加入しており、火災現場は「丸焦げで、丸裸で出たという大変かわいそうな状況」で、見舞いに行くと「着のみ着のままで、娘さんの家に転がり込んでいて、このあとどうしたらいいんだろう途方に暮れている」と被災者の窮状を話した。
同席した白鳥賢市議は、2014年6月に16棟が被災した三条市横町1丁目の火災で、6月議会で小規模災害生活再建資金貸付金を創設したことを話した。がれき処理に1件100万円を無利子で据え置き期間6カ月、償還5年で貸し付けるというもので、9件で900万円の補正予算を専決処分した。
三条商議所の観光サービス部会を担当する金子副会頭は、「三条を代表する繁華街なのおで、迅速に1日も早くお客さんに戻ってもらいたいという希望がある」と代弁する一方、2014年に小規模災害生活再建資金貸付金を創設した話しを聞き、「そういった事例があって、非常に手厚い対応をしていただいたという過去があり、ぜひとも同じような形で助けてていただければ」と求めた。
滝沢市長は、小規模災害生活再建資金貸付金に把握してなく、「ご教示いただいて大変ありがたい」と述べ、本寺小路は「三条市にとって商業のみならず、町にとって大事なエリア」との認識を示し、「6月議会の冒頭からすぐは難しいが、何ができるか、団体の皆さまにも何を我々としてお願いしていきたいのか、どうまちを挙げて、地域を挙げて、みんなでどのように協力していくことが大事なのかも含めて、我々も引き続きしっかりと考えていきたい」と述べた。
また、関組合長は、被災したフィリピンの女性が、遊んでいられないと早々に新しい店を借りて仕事を始めたことを話した。とはいえ、「やっぱり先立つもの。組合から多少だが見舞い金を差し上げたが、それでは2、3日の食費ぐらいにしかならない」。
続けて「これを機に市長に旗を振っていただいて、本寺小路を負からプラスにもっていっていただけるような。三条で20年近く商売しているが、日に日に灯が消えている。ひとりの商売人としてここに生まれ育ったので、なんとか頑張って盛り上げていきたい。微力だが、皆さんと一緒になってなんとか一歩でも前に進みたいので、市長の力を借りたい」と願った。要望書の連名の8人は次の通り。敬称略。