新潟県燕市分水地区で、下諏訪に鎮座する寺「下の堂」は、地蔵堂本町の寺「願王閣」から1725年(享保10)に分祀(ぶんし)されてからことしでちょうど300年を迎えた、その節目を記念して21日(土)を宵の宮、22日(日)を本祭として盛大に三百周年祭が行われる。宵の宮を行うのが特別なら、三百周年記念御朱印の授与や稚児によるもちまきも特別に行って三百周年を盛り上げる。
諏訪町の商店主らでつくる「諏訪町新生会」(渡辺一男会長・会員14人)の主催で宵の宮は午後5時から8時まで、本祭は午前11時から午後3時まで開く。
本尊は薬師地蔵尊で毎年、地蔵の縁日の24日に近い日曜に本祭りだけ行っているが、ことしは前夜祭として宵の宮を行う。酒の振る舞い、ドリンクの販売、諏訪地区の仕出し屋4店舗が午後5時からそれぞれ「だんだん市まち弁フェア」と銘打って特別弁当を1,000円で販売する。
本祭は、諏訪町新生会が露店と駄菓子釣りを用意し、雑貨販売もある。午後2時半から富くじ付きお楽しみ抽選会を開き、事前に販売した周年祭で使える1,000円のチケットに付いている富くじ付きお楽しみ券で、抽選で豪華景品が当たる。
3時から稚児によるもちまき。例年なら稚児ももちまきもないが、小学生3人が稚児となってもちまきする。
三百周年記念御朱印は祭りの2日間限定のプレミアム御朱印で、500円で授与する。ふだん御朱印の用意はない。今回のために作ったオリジナルの寺印を朱で押し、重ねて地元の能書家が中央に下の堂の本来の名称である「大悲殿」の文字を墨書きする。
願王閣から分祀された300年前といえば、八代将軍吉宗の時代にさかのぼる。願王閣は1187年(文治3)の創建とされる。願王閣を「上」として、「下」に分祀されたから下の堂と呼ばれるようになったと思われる。
病を治し安楽を得させる治病の菩薩として広く信仰されてきた。宗派はなく、住職もない。かつては祭りがあったと思われるが、戦後には絶えていたが、諏訪町新生会が復活させて30年ほどになる。
諏訪町新生会会長は渡辺染物店の渡辺一男さん(74)。「ことしはパワーアップしてみんな張り切っている」と言う。ことしに限らないが、金と手間をかけて続けている。
町内の人が楽しんでくれ、祭りのあとにおいしい酒が飲めることがやりがい。「まあ、おとなの遊び。それだけの話」と笑い、ことしの祭りを心待ちにしている。