燕市議の佐野大輔氏(41)は30日、記者会見を行って今秋予定される燕市長選に無所属で立候補すると正式に表明した。佐野氏は文科省へ2年間の派遣を含め市職員として10年間の勤務経験が強みで、「本気で燕市のために取り組みたい、全身全霊をかけて市政に取り組みたいという思いがあった」と強い決意を述べ、現市政の継承を土台としながら「稼ぐ燕市」、「育てる燕市」、「燕はひとつ」の三本柱を政策の核に据える考えを示した。
冒頭、市議選でも後援会長を務めた大倉龍司後援会長は、燕商工会議所青年部で出会って10年来の付き合いで、「彼の行動力、提案力、そして実行力を目の当たりにし、まわりのみんなをエール、応援したい心意気にふれ、彼ならこの街の未来にエールをくれると確信している」と佐野氏の経験と手腕に期待した。
佐野氏は、出馬を決意した経緯から話した。当初はほかの候補者の擁立を模索していた。燕市議選でも人任せにしないで自分が矢面に立って市政に取り組もうと出馬したが、今回もまた人任せにしようとしている自分に気づいた。
ことし3月の鈴木力市長の任期満了を待たずに辞職すると発表した記者会見を傍聴し、「市長の思いを引き継ぎたいという気持ちがどんどん高まった」ことが大きなきっかけになったと語った。
佐野氏は政策の基本方針として、現職の鈴木市長、その前の小林清市長が築いてきた「地に足のついた市政運営」をしっかりと引き継ぐことを大前提と強調。そのうえで、未来に向けた新たな挑戦として三本柱を掲げた。
「稼ぐ燕市」では、産業振興を最重要課題とし、ものづくりの企業の誘致やスタートアップ支援を強化。「日本のものづくりといえば燕市」というブランドを世界に発信し、産業全体で活気があふれるまちを目指す。55億円の寄付がある「ふるさと納税」をさらに拡充し、基金の運用なども含めて財源を確保していく。
「育てる燕市」では、文部学省勤務の経験を生かし、教育環境や体制の充実を推進。教職員の研修や先進地視察を拡充するほか、県立高校の今後の方向性も市として積極的に県へ提案していく。市の職員がキャリア形成をイメージしやすい仕組みづくりや、専門職人材の活用で行政サービスを向上させる。
「燕はひとつ」では、行政、民間企業、市民の垣根を越えた官民連携や、世代を越えた共助が進む体制づくりを目指す。「自分自身が先頭に立って動くことで、若い世代にも市政に興味を持ってもらい、まち全体で情報を発信していきたい」と手法も示した。
質疑応答で、柏崎刈羽原発の再稼働について問われると、「現状では、東京電力の適格性や国の避難経路の問題を考えると、再稼働には賛成できない」と述べ、鈴木市長と同様の慎重な姿勢を示した。
自身の強みについては「市職員、文科省、民間、そして市議とさまざまな立場を経験してきた。その経験とつながりを生かし、多様な分野の人々をつないでいくことができる」とアピールした。選挙戦に向けては「今後は少しずつわたし1人で動くだけでなく、いろんな人から動いていただくことで、より多くの人を巻き込める、そんな状況をつくっていきたい」と述べた。
さすがに緊張して記者会見を迎えた佐野氏は「話したいことは全部、話し切れたと思う」とほっとした表情。「まずはスタートを切った。ここから本当に動いていくという状況なので、あとはひとりでも多くの支持を広げられるように、まずは自分が歩いてしっかりと回っていきたい」と気を引き締めた。
また選挙戦に向けてダイエットに取り組んでおり、137kgだった体重が今は110kgになり、市長選までには2けたを目指しているとも話した。
佐野氏は燕市出身。東海大学教養学部卒業、燕市役所に入庁。文科省への出向などを経て2019年に退職し、民間企業勤務の後、独立して個人事業主として「aile」を企業。2022年の市議選でトップした。市議の職は7月末で辞職し、9月には個人事業主も閉じる。