大阪・関西万博で28日から31日までの4日間、開かれている自治体参加イベント「Resolution of LOCAL JAPAN 展〜地域が創る日本と地球のいのち輝く未来〜」(略称:LOCAL JAPAN展」)に、新潟県三条市が「鉄と土と火と、」をテーマに信楽焼(しがらきやき)で有名な滋賀県甲賀市と共同出展している。会場の設営や開催期間中の運営サポート、企業の出店調整などを三条市から委託を受けている株式会社ドッツアンドラインズ(三条市)が会場のようすをリポートした。
LOCAL JAPAN 展は、万博首長連合が主催する都道府県の枠を超え、地域にあふれる「日本の奥深さ」を五感で楽しみ、味わってもらう体験型イベント。イベントスペースのEXPOメッセ「WASSE」を会場に東北から沖縄まで全国43地域が地域や文化、世代を超えてコラボレーションし、6つのテーマ、14の共創コンテンツ(ブースとステージ)で、世界に誇る伝統芸能、文化、祭り、音楽、工藝、和食、健康、自然の魅力を届けている。
三条市と甲賀市の「鉄と土と火と、」は、6つのテーマのうち「日本各地の豊かな自然」のテーマに含まれる5つの共創コンテンツのひとつ。6×3メートルのブースを甲賀市と半分ずつ使い、三条市は、三条市の産業を代表する製品を展示し、三条市の金工作家・須佐真さんによる鎚起銅器製作実演を行っている。
ドッツアンドラインズの代表取締役、齋藤和也さん(38)は、27日から8月1日まで会場に張り付いている。齋藤さんの話では、万博会場全体が非常に混雑しており、人気のパビリオンは予約制か、30分〜2時間待ちの行列ができていると言う。LOCAL JAPAN展会場は毎日、イベントが行われて多くの観客で満員になっており、初日は約1万3000人がLOCAL JAPAN展に来場し、4日間で5万人にのぼる見込みだ。
LOCAL JAPAN展での販売はなく、三条市については、ふるさと納税や三条の製品そのものへの関心は非常に高く、ほとんどの来場者がパンフレットを持ち帰ったと言う。アンケート結果では、約8割が三条市に行ってみたい」と回答した。
また、関西圏では「燕三条」の知名度は非常に高いのに「びっくりするぐらい三条市を誰も知らない」、「これ“三条”と書いてあるけど“燕”はどうしたのかと聞かれることもあった」。齋藤さんは燕市と三条市の合併を推進が設立趣旨の燕三条青年会議所の理事長でもあり、その立場からも認識を新たにした。ドッツアンドラインズのリポートは次の通り。
三条市、万博「LOCAL JAPAN展」に出展
? 初日は約13,000人が来場、“地域共創”で三条のものづくりを世界へ発信 ?
2025年7月28日から31日にかけて、大阪・関西万博の会場施設「EXPOメッセWASSE」で開催された「Resolution of LOCAL JAPAN展〜地域が創る日本と地球のいのち輝く未来〜」において、三条市が滋賀県甲賀市と共同出展している。
本展は、全国43地域が参加し、「共創」をテーマに地域資源や伝統文化、ものづくり、食、自然などを体感型で紹介するイベント。初日は約13,000人が来場し、各地のブースがにぎわいを見せた。
三条市と甲賀市は、「鉄と土と火と、」を共通テーマに、金属加工と信楽焼という異なるものづくり文化の共演を図り、合同ブースを展開。両地域の職人による実演が連日行われ、子どもから大人まで多くの来場者が足を止め、目を輝かせながら見入っている。
三条市ブースでは、地域を代表する製品の展示に加え、金工作家・須佐真氏による鎚起銅器(ついきどうき)の製作実演も行われ、多くの来場者でにぎわっている。製作工程を間近で見た来場者からは「本物の手仕事を初めて見た」「職人さんの姿に感動した」といった声が寄せられた。
また、今回の展示製品は、地域の製造業ネットワーク「燕三条こうばの窓口」会員企業の中から選定された企業が出展。日頃から本気で外に向かって挑戦を続ける企業に声がかけられ、ふるさと納税返礼品としても採用されている製品が多数展示されている。
【出店企業(敬称略・順不同)】
山谷産業/長谷弘工業/水野製作所/川崎/スノーピーク/諏訪田製作所/タダフサ/小林工具製作所/コスモ・スミス/テーエム/三条特殊鋳工所/角利産業/ビーワーススタイル/有本製作所/須佐真(金工作家)/須藤凧屋/IPS PLIERS/野崎製作所/ヤマトキ製作所
空間設計は、関西を拠点に活動するデザイン集団graf(グラフ)が担当。工芸・工業・空間が交差する“共創空間”として、国内外からも高い関心を集めている。
また、現地では来場者を対象に、アンケート回答者の中から抽選で当たるオリジナルギフト企画「ポンポン酒」プレゼント(1日52個限定)を実施。ドッツアンドラインズが企画したこのポンポン酒は、三条市で製作された陶器・ステンレス製・銅製のお猪口に、福顔酒造の日本酒(パウチ入り)を組み合わせたEXPO限定セットで、行列ができるほどの人気だ。
今回のEXPO仕様は、三条市の地域文化をテーマにした図柄入り。デザインは以下の通り:
当選者からは「この器だけでも価値がある」「子どもにも見せたい」といった喜びの声が届いており、地域文化への関心と共感を高めている。
また、アンケート結果では、全体の約8割の来場者が「三条市に行ってみたい」と回答。「燕三条の名前は知っていたが、三条市と燕市が分かれているとは知らなかった」といった声も多く、“燕三条”というブランドの認知力の高さと、今後の発信における自治体単位での丁寧な説明の必要性も改めて感じることができる。
さらに、初日のオープニングセレモニーには、国際博覧会担当大臣・伊藤良孝氏が三条市ブースを訪問。担当者や職人からの説明を受けながら、製品に触れ、地域のものづくりの力に深い関心を寄せた。
ドッツアンドラインズ代表・齋藤和也氏は「甲賀市との共創、grafとの協働、そして燕三条こうばの窓口の仲間たちと、全員が本気で取り組んだからこそ実現できた展示。子どもたちが目を輝かせて見ていた光景こそ、私たちが伝えたかった未来へのメッセージです」と語る。
今後、三条市と甲賀市は本展示をきっかけに継続的な連携を目指し、産業観光・地域文化発信などの分野でもさらなる展開を見据えている。