新潟県燕市の農業法人、株式会社アグリシップ(佐藤広幸代表取締役・上児木)は4日、小泉進次郎農水大臣を訪問し、政府備蓄米の放出で米価が下落すれば担い手の喪失につながることから米価の適正価格の維持や戸別所得補償制度の導入、働き方の多様化などを求め、意見交換した。
佐藤代表取締役は、長引く米価低迷の状況が南海トラフ地震臨時情報やその後の地震、台風による買い込み需要と集荷競争の激化で一変したことにふれ、「資材費などを勘案した適正な価格」での取引が実現するきっかけになったことを説明。この価格高騰により、同社を含む市内の農業法人では新規雇用を行うなど、担い手の確保に前向きに取り組めるようになったと述べた。
一方で、政府が価格安定化のために備蓄米を放出し続けている現状に懸念を示した。急激な流通量の増加が、今後の米価下落を招き、せっかく芽生えた「希望の持てる農業」への意欲を失わせ、担い手の喪失につながりかねない。
佐藤代表取締役は、若い人々が農業に希望を持てる環境づくりのため、小泉大臣に対し米価の安定化、経営安定化への支援:、働き方の多様化、 輸入米の方針の明確化を求めた。
米価の安定化:は、再生産が可能で消費者が買い求めやすい価格となるような施策を講じてほしい。経営安定化への支援は、価格の不安定感が払拭できるよう、戸別所得補償制度の導入など農業経営を安定させる取り組みを進めてほしい。
働き方の多様化は、休みなく働くというイメージを払拭し、「土日休める農業」を実現して、若者が職業として農業を選択しやすい環境を整えてほしい。 輸入米の方針の明確化は、輸入米が主食用米に回らないかについて、明確な方向性を示し、農家にも寄り添った対応をしてほしいと求めた。
佐藤代表取締役は、若者が農業を志し、継続できる「希望の持てる農業」の実現こそが、日本の食を支える上で不可欠と訴えた。
また冒頭、アグリシップから昨年、アグリシップを訪問したときに国定勇人代議士が稲刈りなどを手伝ったときのコメ5kgを小泉大臣に贈呈した。
アグリシップは2016年設立の農業法人で従業員2人、事業内容は農業、農作業受託、農業関連機械改修など。経営規模は水稲33ha、果樹56a、野菜40a、農作業受託(水稲播種、防除作業等)。