第45回高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会の準々決勝で木屋瀬(こやのせ)バンブーズ(福岡)に3-1で勝利してベスト4進出を果たした新潟県代表の三条市・旭スポーツ少年団(高畑哲也監督)。ここまでの3試合すべてで先制点を許しながら堅実な粘り強い戦いで勝ち上がった。準決勝に向けて高畑監督は「胸を借りるつもりで、ただ恥ずかしくないようなゲームをしたい」と意気込みを話した。
16日も前日に田原本南リトルヤンキース(奈良)に4-1で勝った3回戦と同じメンバーでのぞんだ。先発投手は小林楓選手(井栗小5年)。先頭打者に右前打を許したものの、後続を抑えて安定した立ち上がりだった。
旭の攻撃は得点はならなかったものの、先頭打者の主将、塚田晄人選手(旭小6年)がいきなり左翼越えのエンタイトルを放ってチームを勇気づけた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | ||
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木屋瀬バンブーズ | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
旭スポーツ少年団 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | × | 3 |
2回、木屋瀬は2つの四球と送りバントで1死走者1・2塁としたあと、左前打で2塁走者が生還をしたものの、旭は3塁をねらう走者を今井咲太郎捕手(大崎学園6年)が藤田七音三塁手(西鱈田小6年)に送球して刺す好プレーもあり、この回を1失点でしのいだ。
3回から投手は小林選手に代わって連日、好投を見せている小柳有生選手(西鱈田小6年)。死球もあったが走者を二塁へ進ませなかった。
その裏の旭の攻撃は、四球で小林選手が出塁。塚田選手が右翼越えの単打で無死1・2塁としたあと、送りバントは失敗したが、小柳有生選手のの打席でヒットアンドランのタイミングでバッテリーミスで二塁走者の小林選手が一気に本塁に滑り込んで1-1の同点に追い付いた。
小柳有生選手が死球で出塁、盗塁で1死2・3塁としたあと、今井咲太郎選手(大崎学園6年)が二遊間を破る逆転打を放ち、2人の走者を返して3-1とした。
2死としたが、ここで中間越えのエンタイトルを打たれた。終わってみれば小柳有生選手が打たれた安打はこの1本だけ。あとひとりだったが、ここで高畑監督がマウンドへ向かって選手に気合いを入れた。
最後の打者はファウルで粘られたが、左翼フライに打ち取って3-1で試合終了。意外に淡々と勝利の喜びをかみしめる一方、木屋瀬は涙をぬぐう選手もいた。
試合後、高畑監督は、前日と同じような展開になり「初回に点を取られて、早めに取り返して、それを守りきるという野球ができた。小柳君の球速で抑えてくれるのは助かる」と振り返った。あとひとりとなったところでマウンドへ向かったときは「とにかくピッチャーと、今のバッターの勝負だよと。気合入れていけ」と選手に伝えた。
逆転の場面は「ワイルドピッチで同点だったが、4番の今井君がいいところでちょっと難しい球だったと思うがセンター前によく運んだ。打つべき時に必ず打ってくれる。それがここまでベスト4までこれた力だと思う」と選手をほめた。
今井選手のバッティングについては「積極的に初球から打っていくが、最近はボールをとらえる率がが非常に高くなってきている」、「しっかりボールを見極めて、打てる球を選択している」と成長を話した。
試合が終わった瞬間、勝ってしまったと言ったことについて、「正直なところ、ここまで来るとは思ってなかったと言ったらおかしいが。毎回、言うが、子どもたちに連れてきてもらってありがとうです。その一言です」と感謝した。
初戦後の取材で高畑監督は、ベスト4が目標と話していた。「まだ終わってない。ここまで来たらも自分たちの力、もってる力を十分、発揮できればいいゲームができるんじゃないかなと思う」。
次の準決勝の対戦相手は強豪の長曽根ストロングス(大阪)。この大会で2021年は優勝、22年は準優勝しており、大阪では昨年優勝の新家スターズと頂点を争っており、「胸を借りるつもりで。ただ、恥ずかしくないようなゲームをしたい」と謙虚だった。
主将の塚田選手は「新潟の過去のベスト4に並んだので、すごくうれしい」と喜んだ。「この3試合、勝ったので、この勢いで次の準決勝も勝ちたい」、「バントで攻めて点を取りたい」と準決勝に向け気を引き締めた。
今井選手は逆転打は「インコースのちょっと高め」。「センター返しを意識して日ごろから練習してるので、そこに低い球をしっかり打てるように意識して打席に入ったから、その球が打てたと思う」、「同点で回ってきたので、しっかり打てるように意識して、逆転できるように頑張って打席に入った」。センターへ抜けて「すごくうれしくて、逆転できたので、この流れでしっかりと勝ち抜きたい」と話した。
捕手としては「ピッチャーの調子とかしっかり考えて、一球一球を考えてアウトコース、インコース、高めなどを使い分けて、しっかりいろんなところからピッチャーをリードして、チームに貢献できるようにしていた」。
ここまでの試合を振り返って「1回戦はしっかりと打席で3打数3安打できて、2回戦もしっかり1本ヒットを打って、3回戦もしっかり打ててよかった。県央選抜からしっかり打率なども調子が上がってきているので、3番の小柳さんからしっかりつないで、点にからめるヒットが打てるとすごくうれしい」。
チームの雰囲気は「すごくベンチでも声が出てて、しっかり1個ずつのアウトを喜べているので、いいと思う」と話し、「新潟県のベスト4最高に並んだので、決勝までしっかり進んで、新潟県の記録を抜きたい」ときっぱり次の目標を宣言した。
スタンドは保護者を含め旭の応援と見られる来場者が100人ほどいたようだ。試合後に会場の外で選手を待つお母さんのほとんどが目を赤くしていた。
もう一方の準決勝は、多賀少年野球クラブ(滋賀)と伊勢田ファイターズ(京都)が対戦する旭以外のベスト4は、いずれも全国大会の優勝景観がある強豪チーム。高畑監督は、トーナメント表をあらためて確認し、「こんなすごいチームのなかにうちがいるとは…」といかに快挙であるかを実感していた。
県勢の過去のベスト4進出チームは次の通り。