新潟県燕市に位置する社会福祉法人 桜井の里福祉会(佐々木勝則理事長・新潟県弥彦村麓)が2006年10月に燕市に開設した「生きがい広場地蔵堂」(宮路昌センター長・分水栄町)が、従来の1日利用デイサービスより、7月1日から午前か午後のどちらかを選べる半日利用デイサービスを開始した。利用者の多様なライフスタイルや健康状態に合わせた柔軟な利用が可能となり、地域住民の健康寿命の延伸を多角的にサポートする。
新しい利用形態とプログラムの導入背景
1日利用サービスの利用は、午前9時半から午後4時半までだが、利用者から1日通しての利用は長く、半日の利用を求める声があった。なかでも比較的、元気な人や自宅で畑仕事や家事を済ませたい人、朝の時間を有効活用したい人などから要望があった。
そこで利用者のニーズに応えて柔軟なサービス提供をと、半日のデイサービスへと事業転換を図った。
半日型サービスでは、午前(9時〜12時)と午後(13時15分〜16時15分)のいずれかを選択できる。それぞれ3時間の充実したプログラムを提供する。
健康寿命延伸への取り組み
半日のデイサービスでは、とくに健康寿命を延ばすために大切な口腔ケアと栄養に関するプログラムを強化。看護師・言語聴覚士による口腔ケア指導、介護職員による栄養相談を受けられる。
高齢者は自宅での食事が簡素になりがちなので、希望者には法人の管理栄養士が監修し法人内で調理した手作りの弁当を650円で持ち帰ることができるサービスも提供する。
自宅での入浴を継続したい利用者向けには、理学療法士が自宅を訪問して、入浴環境の確認や、浴槽への出入りなどの動作指導を行う「入浴トレーニング」も用意する。施設内には、ウォーターベッドや足のマッサージ、足湯などを設置して身体機能の維持、向上をサポートしている。
利用者の主体性を尊重する運営方針
開設当初から一貫して、利用者が主体的に利用したいと思ってもらえるデイサービスを目指している。利用者は毎日、自身の予定を自分で組み立て、リハビリ、陶芸、七宝焼、生け花、カラオケ、将棋、麻雀、さらにiPadやWi-Fiの利用まで、豊富なメニューのなかから自由に活動を選ぶことができる。まるで高齢者向けの漫画喫茶のような充実ぶりだ。
施設内だけでなく、隣接するレストランへの外出や散歩など、地域全体をデイサービスととらえた活動も積極的に展開し、地域とのつながりを深め、利用者の社会参加を促進している。
利用状況と今後の展望
現在は実数で約70人の利用がある。見学や相談も随時、受け付けている。誰もが自由に立ち寄れるロビーでは、コーヒーを飲みながら交流する場としても機能している。
桜井の里福祉会では、ほかにも2つのデイサービスセンターを運営している。どちらも1日利用できるデイサービスであり、弥彦村・デイサービスセンター桜井の里、燕市分水地区デイサービスセンター分水の里さくらとともに、地域福祉の拠点としての役割を担っている。
法人全体として、利用者が主体的にサービスを選択できるようなメニュー作りや環境整備に力を入れており、今後も利用者のニーズに合わせたサービスの変革を進めていく方針だ。半日型デイサービスの問い合わせは「生きがい広場地蔵堂」(0256-97-7117)。