22、23日の2日間、新潟県三条市の中央商店街で、15店舗が参加して「掘り出し市」が開かれている。参加のひとつ「ギャラリーゆう」では、地元の声楽家が舞台衣装のドレスなどを1着10円から100円で販売して「本当に10円でいいんですか?」と来店客を驚かせている。

この声楽家は三条市に住む菊川(旧姓:滝沢)亮子さん(62)で、「ギャラリーゆう」は、かつての実家。「靴のタキショー」こと「滝庄商店」だった。1991年に改装して2階にギャラリー「プチサロン ゲン」をオープンした。
その後、土地と建物を売却し、今は「ギャラリーゆう」が借りている。今回はさらに菊川さんが2日間だけ舞台衣装を販売するために借りている。
菊川さんは武蔵野音楽大学のピアノ科を卒業し、28歳でふるさとへ戻って学校勤務や合唱団の伴走、ピアノ指導などで忙しくし、48歳で結婚を機に千葉県に移住。数年前に終(つい)のすみかにと、三条市に中古物件を手に入れて住んでいる。

捨てられずにとっておいた舞台衣装は多くが9号サイズだが、今ではほとんどが着られない。それなのに一部屋を舞台衣装が占めている。処分するにも費用がかかり、どうしようかと考えあぐねていたときに掘り出し市を知り、参加することにした。
一部の特殊なデザインのものを除き、約70着を見つくろって並べた。ワンピースが50着、上下セパレートが20着ほど。30代、40代のころに演奏活動で着用したステージドレスの数々だ。
赤や青の鮮やかな色のドレス、トレーンが美しいウエディングドレスのようなデザインなど、どれもステージ映えする華やかな衣装ばかりだ。

デザイナーズの高額品ではなく、地元の長崎屋などが展開していた披露宴ドレスの払い下げ店など、5,000円〜6,000円ていどで入手したものが多く、当時は2万円でも高いと感じたと言う。
とはいえ、それが原則としてワンピース100円、セパレート10円なので激安。来店した人は申し訳なさそうに10円、100円を差し出していた。

少しずつ積み上がった結果のコレクション。それぞれの衣装を着たときのステージの記憶は今も鮮明だ。
「これをごみ袋に詰めて出すのかと思ってたので、喜んで持って行ってもらえば、それに越したことはありません」と話している。23日は午前11時から午後6時まで。

