新潟県燕市でベートーベンの交響曲第9番を市民の手で歌い継ぐ「第九を楽しく歌おう会」が14日(日)午後2時から燕市文化会館で7年ぶりとなる「歓喜のつばめ第九演奏会」を開く。新潟交響楽団の管弦楽とプロ声楽家4人を迎え、総勢約180人が舞台に立ち、小学4年生から89歳まで幅広い世代が「歓喜の歌」を響かせ、世代を超えた感動体験を届ける。

第九を楽しく歌おう会は1990年代後半、加茂市出身の音楽教師・押見栄喜さんの呼びかけで結成された市民合唱団が前身。以来、数年に一度、燕市や周辺地域で第九の演奏会を重ねてきた。
前回は2018年に開催したが、その後は新型コロナウイルスの流行や、会場となる施設が直前の大雨で使用できなくなるなど相次ぐアクシデントで公演が途絶えた。今回が7年ぶり6回目で、最も長い空白を経ての開催となる。
とはいえ中止を余儀なくされた期間も、ピアノ伴奏による短縮版の第九や自主コンサートを継続してきた。入会して10年ほどになる会長の上野史朗さん(80)は「どうして第九をやらないのという声に励まされてきた。ようやくフル編成で戻ってこられる」と感慨はひとしおだ。

今回も新潟交響楽団が共演する。75年の歴史をもつアマチュア交響楽団で、約75人のメンバーが厚みのある響きを支える。プログラムは第二部の第九に加え、第一部ではモーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲を演奏する。
合唱団は、同会の約30人を軸に、燕市、三条市、加茂市、長岡市、新潟市など県内各地から参加者を募り、賛助出演も含め107人が集まった。下は小学4年生、上は89歳。「声はあまり年を取らない。80代の方もいい声を出してくれている」と上野さん。家族や友人同士での参加も多い。
公演に向けて今年春から「初めての第九講座」を開講。燕市との共催事業として行われた講座には20人余りが参加した。半年から10カ月かけて発声やドイツ語の歌詞、楽曲の背景などをじっくり学んだ。途中でリタイアする人もいたが、現在は26人が本番の舞台に立つ。

指揮は平川範幸さん。ソリストは今に至るまで長年、同会の指導を続けてきたソプラノの櫻井綾さん(51)=燕市=のほか、アルトの押見朋子さん、テノールの渡辺康さん、バスの押見春喜さんが務める。櫻井さんは50歳の節目を越えた記念に初めてソリストに名乗りを上げ、張り切っている。
上野さんは「大編成のオーケストラで第九を地元で聴ける機会は多くない。子どもからおとなまで、五感でクラシックの迫力を味わってほしい」と来場を呼びかける。
チケットは全席自由で前売り3,000円。燕市中央公民館で販売している。当日券の残席はわずかの見込みで、事前に前売り券を購入するのが確実だ。問い合わせは同会の木村さん(090-6190-7307)へ。