燕・弥彦総合事務組合消防本部(新潟県燕市)は、救急搬送時の安全性向上と傷病者の負担軽減を目的に、最新型の電動ストレッチャーを搭載した救急車両を導入した。電動ストレッチャーの導入は県央地域では初めて、県内では南魚沼市、阿賀町、小千谷市に続いて4例目。燕消防署に配備し、21日から稼働する。

電動ストレッチャーは、傷病者を乗せたまま電動で高さを調整できる「電動油圧昇降システム」を備える。高さを最大104センチから最低36.6センチまで無段階で昇降でき、ボタン操作のみで安定して動作する。耐荷重も318kgと余裕がある。
従来の手動式のストレッチャーは、何も力のサポートがなく、救急隊員がタイミングを合わせて人力だけで昇降させる。それと比べて揺れが少なく、搬送時の痛みや不安の軽減につながるほか、救急隊員の作業負担の低減にも寄与する。

導入にかかった費用は、電動ストレッチャー790万円を含む車両が2706万円、加えて資器材が1570万円の合計4276万円。燕署に配備していた2012年導入の救急車の老朽化に伴う更新で導入したもので、資器材はこれまで搭載していたものをできるだけ使った。
18日、この電動ストレッチャー搭載救急車が公開された。1人で電動ストレチャーの昇降を安全に操作でき、「ウィーン」とモーター音が響き、スムーズに動作していた。背もたれの角度も電動で無段階に調整でき、傷病者の快適性に貢献する。

燕・弥彦消防が全部で8台の救急車を運用しており、そのうちの1台が電動ストレッチャーに変わった。今後も救急車の更新にあわせて電動ストレッチャーの導入を進めたい考えだ。
電動ストレッチャーの普及率は、対象人口が10万人未満で0.4%ほどにとどまる。普及が進んでいないのは導入コストなどの理由があるが、欧米では9割を超える。総務省消防庁も救急隊員の負担軽減を課題にあげており、今後も導入が進むと思われる。