三条市立大学(新潟県三条市上須頃)は仕事始めの5日、年頭式を行ってアハメド・シャハリアル学長が学内で教職員向けの新年のあいさつを行った。シャハリアル学長は、今後の大学運営の方向性と新たな中期計画の構想にふれ、開学時に掲げた6年間の中期計画が2026年度に達成年度を迎えることを受け、次の6年を見据えた「戦略的ビジネスプラン」の骨子を整理したことなどを伝えた。

シャハリアル学長は冒頭、「これまでの成果は教職員一人ひとりの挑戦と積み重ねによって到達したもの」と述べ、これまでの取り組みに敬意を示した。そのうえで、「大学が社会の中でどのような存在であり、どのような価値を提供し続けるのかをあらためて問い直す設計図として、新たな中期構想を策定する」と語った。
新たな成長軌道を描くため、今後は成長産業を牽引できる人材育成を重視し、学びの内容や方法、領域を横断的に拡張する方針だ。さらに「大学は入学時だけでなく、より早い段階からあこがれの対象として選ばれる存在でなければならない」と強調。小学生や中学生、高校生の段階から市立大の学びに心を動かす仕組みづくりに力を入れる考えを示した。
また、国際化については「留学生の受け入れにとどまらず、教育の中身、研究の視点、組織の思考様式そのものを世界水準に近づけること」と定義。こうした取り組みの先に、「三条市立大学をアジアナンバーワンのイノベーティブ・テクノロジストを養成する教育機関にする」という明確な目標を掲げた。
「それと同時にアジアナンバーワンであることへの誇り、自信、情熱をもって行動する教職員を学内に増やす。この誇りと情熱が学内に浸透することが、すべての改革の出発点」と位置付けた。

この目標達成に向けて人事制度改革、学生選抜の改革、学内外へのマーケティングや公募活動の充実を3つの中核施策に位置付け、2026年度から本格展開する方針。「変化の年は負荷も大きいが、大学が本当に成長する手応えを実感できる年でもある。この大学を自分たちがつくっているという当事者意識と誇りをもち、ともに前に進んでほしい」と教職員に呼びかけた。
年頭式のあとシャハリアル学長はケンオー・ドットコムのインタビューに応じた。シャハリアル学長は、この年末年始はいろいろな行事があって長く休んだが、「その間、いろんな施策を練ったりした。試作とかを練ったりして、じっくり考えることができた」と振り返った。
年明けに米国のトランプ政権がベネズエラ大統領を拘束した。「世界秩序は、われわれグローバル社会の一員として無視できない」とし、これにより国際秩序が変わり、「われわれの地域社会にとってどういうふうな影響を与えるか、さまざまなことを考えながら過ごした」。
「ベネズエラで起きたことは、自分たちの身に置き換えると、近いところで起きそうな気がしないか」と日本に引きつけて考える。日本は力による現状変更に反対の立場だが、「学生を育成するうえで、どういうふうに学生たちにこうした秩序の話を納得させることができるか、教育的な立場で考えなきゃいけない出来事」と課題を示した。
年頭式でも国際化の取り組みについて話したが、三条市立大はことしで6年目になり、第一フェーズをクリアし、これから第二フェーズで国際化を進めていく。

国際化を進めるのは「大学の地位、大学の存在意義、グローバル社会における大学というのは、世界的にどういうふうに認知されているかが大事。たとえ地域社会に存在する大学とは言え、グローバル社会にどう認められているかがポイントになる。われわれが打って出なきゃいけない」と自身に課した。
そのための国際化を推進していく戦略を立て、実行しながら「大学の国際的なグローバル社会における地位を確立して行きたい」と抱負を語る。
「三条市立大学は多分、究極の地域大学、地方大学と言われていて、われわれがそのモデルになりたい、モデルになっていると思う。究極の地域大学は、地域の課題、地域の悩み、地域の喜びを地域の皆さんと分かち合って、一緒に成長して、一緒にその地域の競争力を担保していくこと」と自負があり、学内にとどまらない地域貢献を常に意識する。
「地域のすべてのことが私たちの誇りと自信であるということ。それをこの大学、あるいは毎年来ている学生だけではなく、地域の皆さんと共有しながら、皆さんの誇り、皆さんの自信につなげていって、この地域を豊かな地域として存続させたい」と、ことしも地域と歩調を合わせて進めていく。