新潟県三条市のジェラート専門店「ジェラテリア ココ(Gelateria COCO)」を経営する佐久間康之さん(43)が、イタリアで開かれた世界的ジェラート大会「コッパ・ディ・オーロ(Coppa d’Oro)」で優勝し、日本人として初めて頂点に立った。アジア人としても初の快挙。佐久間さんは16日、県庁を訪れて花角英世知事に優勝を報告し、花角知事から世界一のジェラートを味わってもらった。

この大会は世界最大級のジェラート、菓子、コーヒーなどの国際展示会時「SIGEP」に併設されて行われる歴史ある国際大会。ことしのテーマは、マンゴーを使ったジェラート。世界各国から約100人のジェラート職人が参加した。
予選を勝ち抜いた20人が準決勝へ進み、さらに10人が決勝へ。決勝ではイタリアを代表する5人の重鎮審査員が10点満点で評価する方式。50点満点中44点を獲得した。2位は41点、3位は40点で、佐久間さんは頭ひとつ抜け出た。
勝因は、マンゴー、砂糖、水、そしてヨーグルト風味のチーズ「フロマージュブラン」を加えた独自レシピ「マンゴー・フロマージュブラン」。チーズの脂肪分と酸味がマンゴーの甘みを引き立てる黄金比で、審査委員長からは「パーフェクト」との評価を受けた。花角知事も試食し、「普通のマンゴーを食べるよりもマンゴーらしい。素材を凝縮して食べている感じ」と驚いた。

大会期間中にはミキサーが使えなくなるトラブルもあったが、宿のスタッフの協力で乗り切った。「ナタリアという宿のおばあちゃんが機材を貸してくれて、あの支えがなければ優勝はなかった」と、佐久間さんは感謝する。
佐久間さんは父親の豆腐店を手伝っていたが、新たな挑戦として2016年に「ジェラテリア ココ」を開業。19年から本格的にジェラート作りに携わった。専門学校などには通わず、書籍や全国の職人の助言を頼りに独学で技術を磨いた。「市販のアイスとジェラートの違いも分からないところからのスタートだった」と振り返る。
店舗は、三条市福島新田のJAえちご中越農産物直売所「ただいまーと」内にある。地元農家から直接仕入れイチゴ「越後姫」、モモ、洋ナシ「ル・レクチエ」、ブドウ「シャインマスカット」などの果物に加え、ホウレンソウやキュウリ、トマト、さらにはフキノトウなどの野菜を使った個性豊かなジェラートが並ぶ。

佐久間さんは「素材をそのまま食べるよりもおいしくすることがジェラートの使命」と、今回はブルーチーズなどを隠し味に使い、味を引き立てている。
優勝をSNSで報告した昨年12月2日以降、店は一変した。売り上げは約4倍に伸び、冬場にもかかわらず行列ができる日が続く。マンゴーを週100キロ使用するほどの人気ぶり。なじみ客に「新潟県の誇りだと言っていただけるのがありがたい」と話した。
間もなくECサイトをオープンするが、「店頭でよりよいフレッシュなもの、最適な滑らかさが味わえる」、「その感動をできるだけ損なわずに届けたい」と佐久間さん。首都圏からの来店もあり、「わざわざ店に来る価値を構築していければいい」と店に足を運んでくれることに期待する。

花角知事は1月3日に店を訪れたが、翌日が初売りだったと笑った。ようやく試食がかない「滑らかですね」と感激した。
佐久間さんの兄、佐久間寛道さんは2020年まで3年間、新潟県総務管理部長に就いた。花角知事は「お兄さんから普通のマンゴーを食べるよりもマンゴーらしいと聞いていた。まさにマンゴーよりもマンゴーらしい。マンゴーの実を凝縮して食べてる感じ」と絶賛した。
花角知事は、三条市でも採れる県産のキウイの仲間のコクワ(サルナシ)を使ったジェラートを提案した。佐久間さんは二つ返事で「やりましょう」と製品化を約束した。

兄が花角知事に仕えたこともあり、佐久間さんは早くから花角知事への優勝報告を夢見ていた。「知事に食べていただけたことが何よりの励み。新潟の力を全国に、そして世界に伝えていきたい」と感無量だった。
また、同行した滝沢亮三条市長は、佐久間さんが作るフキノトウのジェラートを味わったことがあり、「それこそフキノトウを食べてる感じ」と紹介。三条市は果物の産地でも知られ、花角知事の「三条にはいい素材がたくさんある」に滝沢市長は「こうやって素晴らしいジェラートにしてくれる人がいてありがたい」と感謝し、発信力に期待した。