いずれも新潟県燕市を拠点とする、燕市と弥彦村の中小企業で働く人たち向けに福利厚生サービスを提供する公益財団法人燕西蒲勤労者福祉サービスセンター「タンポポ」(浅野智行理事長)と、零細企業や個人事業主への資金提供を目的に地元産業界が設立した協栄信用組合(池内博理事長)。同じような背景から生まれた両者が30日、ビジネスマッチング契約を締結した。協栄信用組合の営業ネットワークを通じてタンポポの周知と新規会員獲得を進め、地域企業の人材確保や定着支援につなげ、これによりタンポポは悲願の会員1万人突破を目指す。

タンポポは、1973年に燕市勤労者福祉共済として発足し、2012年に今の組織になった。公益財団法人燕西蒲勤労者福祉サービスセンターとなった。3月1日現在の会員数は9,168人、事業所数は816。月額会費は1人500円、入会金は無料で、事業所単位で加入できる。
主なサービスは、結婚や出産、入学、永年勤続などの祝金、傷病や住宅災害などへの見舞金、人間ドックやインフルエンザ予防接種などの補助、旅行や映画、コンサートなどのチケットあっせん、日帰り温泉や飲食店など200以上の協賛店での割引きなど多岐にわたる。
協定では、協栄信用組合がもつ地域企業とのネットワークと、タンポポの会員企業ネットワークを活用し、双方の企業ニーズを共有、紹介することで、会員拡大や業務提携、サービス利用促進などにつながるビジネス機会を創出する。対象は燕市、弥彦村の中小企業で、支店や営業所、個人商店、農家なども含む。
締結式は協栄信用組合本店営業部で行われ、協栄信用組合の池内理事長と営業推進部の三五裕太郎課長、タンポポの浅野理事長と田辺美香子事務局長が出席。池内理事長と浅野理事長が協定書に署名、押印した。

田辺事務局長は、全国に同様の団体が約300ある一方で「まだまだ認知度が低く、タンポポとは何をしているところか、どうやって入るのか知られていない部分がある」と説明した。
「燕市内に本店を置く協栄信用組合の地域に根差した活動とネットワークで、タンポポを広めていただきたい。地域企業の人材確保と定着のサポートのお手伝いをお願いしたい」と期待。具体的には4月1日から協栄信用組合の各本支店にパンフレットを設置し、営業担当者の訪問時にも紹介する取り組みから始めると話した。
池内理事長は「信用組合の経営理念にすごくマッチした取り組みで、親和性が高い。利用する従業員、事業主、サービス提供施設やイベントの主催者まで、みんながまるっと良くなる取り組みだ」と強調。「地域の皆さんにタンポポという素晴らしい取り組みがあることをもっと広めていきたい」と述べた。
浅野理事長は、協栄信用組合が昨年、タンポポの会員企業となったことにふれ、「もっと早く知っていれば良かったとの言葉をいただき、心強く感じた」と振り返った。
タンポポは「燕市で発足してから長年にわたり、燕、弥彦地域の事業所に勤める皆さんや事業主の福祉の増進、地域経済の振興や活性化に寄与するため活動してきた」とし、「協栄信用組合の力を借りながら、よりいっそう会員の皆さまに満足いただける事業を進め、地域の福利厚生に役立っていきたい」と話した。
協定締結のきっかけは、浅野理事長らが昨年10月、全国中小企業勤労者福祉サービスセンターの東ブロック会議で、岐阜県大垣市のサービスセンターが地元信用金庫と連携して会員増強につなげた事例発表を聞いたことだった。「燕なら地元は協栄さんだよねということでアクションを起こした」と明かした。
また、三五課長は「福利厚生は人材の定着や採用につながっている。求人票でもうたえる内容になる」と採用や人材定着に結び付いているとも話した。
企業側からも福利厚生サービスについて相談が寄せられている。浅野理事長も「面接で『タンポポに入っていますか』と求職者から聞かれたことがある」と話し、福利厚生の有無が就職先選びの判断材料になっている実態を示した。
タンポポでは今後、協栄信用組合との連携に加え、燕商工会議所、燕商工会、弥彦村役場などにもパンフレットを設置し、認知度向上を図る考えだ。地域企業の人手不足が課題となるなか、福利厚生の充実を切り口にした新たな会員開拓に挑む。