小池清彦加茂市長は3日、先に三条、燕、田上、弥彦の4市町村長が連名で知事に提出した「県央地域における中核病院及び救命救急センターの設置についての要望書」について記者会見し、要望書にある内容は実現不可能と分析した。一方で小池市長も前日2日に泉田知事あてに「県央二次医療圏における救急救命センター併設病院について(要望)」の文書を提出し、先に示した加茂市内の候補地を加茂病院移転改築と救命救急センター設置の最適地として実現可能な案とする7項目の提案をしたことなどを発表した。
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記者会見する小池清彦加茂市長 |
小池市長は、8月29日に4市町村長が泉田知事に要望書を提出したことについて、「わたしの方には何の相談もなく持って行かれたもんですから」と不快感を示し、その要望の内容は「実現不可能なこと」で、「実現不可能なことは、いくら一生懸命でもだめ」との見方を示した。
また、2日に加茂市としての提案をまとめた文書を泉田知事や副知事、関係部長あてに提出。さらに、今後、開かれであろう県を窓口とした検討会には2つの条件を出したとした。ひとつは加茂市を設置場所の候補地に含めることと、もう1つは知事か副知事が検討会の長となり、福祉保健部や病院局など関係職員、県央地域の5市町村長を委員とし、現実味を帯びた検討会にしてほしいと期待した。
提出した提案では、先の4市町村長の要望書で新たな600床の病院を建設するある部分に注目。県央二次医療圏は基準病床数2,097床のところ、既存病床数2,090床と余裕がなく、「加茂病院と吉田病院を廃止ないしは実質廃止することである」とした。
また、その中核病院の建設地を三条燕インターと燕三条駅周辺と示していることに、「燕三条駅近くの猛烈に地下の高い場所に巨大な病院を作ることは巨額の費用を必要とする」と否定的。一方で、早くから小池市長が最適地として示している加茂市内の土地は、加茂病院の移転改築を兼ねる救急救命センター建設候補地として加茂市が無償提供するとしていることから、財政面でも「一挙両得」で、費用対効果が極めて大きいと力説した。
さらに、県内のかなりの数の県立病院を民営化し、厚生連(新潟県厚生農業協同組合連合会)に経営させるのは、県民にとっても厚生連にとっても危険なことと不安視する。また、4市長村長の要望書では、「燕労災病院が廃止の方向にあるとの一つの判断を前提としているように思われる」とし、「それならば、燕労災病院の300床に加茂病院の180床を加えて480床とし、加茂病院の建て替えと兼ねて、燕三条駅から5分そこそこで到達できる加茂市提案の候補地に病院を建てる方が県としては土地代が要らないこともあり、容易に実現可能な最良の案」としている。
また、このほかに、加茂病院の医師の数の早急な回復などを県から文書で約束してもらったことなどを話した。小池市長が泉田知事などにあてた「県央二次医療圏における救急救命センター併設病院について(要望)」の内容は次の通り。
平成20年9月2日
新潟県知事 泉田裕彦 様
加茂市長 小池清彦
県央2次医療圏における救命救急センター 併設病院について(要望)
去る8月29日(金)、三条市長、燕市長、田上町長及び弥彦村長から、貴台に対し、
- 県央第二次保健医療圏の中心部に位置する燕三条駅・三条燕インターチェンジ周辺に、救命救急センター機能を併設する病床数600床相当規模の中核病院を設置すること。
- 上記1の中核病院の設置に要する許可病床数を確保するにあたっては、県央二次保健医療圏内の病院の再編も検討に入れること。
- 上記2の再編にあたっては、周辺地域住民に対する通院外来機能等の医療サービス提供機能の保持等に配慮し、中核病院のサテライト化(再編等で整理縮小された病院が中核病院と同じ運営主体によって運営されることをいう。)といった手法の活用を検討すること。
- 中核病院の設置運営については、公設公営に捉われるのではなく、公設民営といった手法も十分視野に入れること。 との4項目を要望する要望書が提出されました。
しかし、
- 他の2次医療圏同様、定められた基準病床数に、ほとんど余裕のない県央2ことは、県立加茂病院と県立吉田病院を廃止ないしは実質廃止することを意味しているのであり、そのような案は、到底加茂市と燕市が同意できるものではなく、実現不可能な案であります。現に4市町村長の要望書の論旨からすれば、加茂病院と吉田病院はサテライト化されるのであり、この要望書は、サテライト化とは、「再編等で整理縮小された病院が中核病院と同じ運営主体によって運営されることをいう。」と明確に述べているのであります。即ち、加茂病院と吉田病院を整理縮小して、診療所にするということであります。
- 燕市長さんも、この要望に名を連ねておられ、吉田病院を公設民営化すれば、それで吉田病院は残せると思っておられるのかもしれませんが、定められた県央2次医療圏の基準病床数には、公営・民営の区別はありませんので、そのようにしても、吉田病院を存続させることは不可能であります。
- サテライト病院として、加茂病院と吉田病院を存続させることは、そもそも不可能であります。なぜならば、要望された病院の600床から加茂病院の180床と吉田病院の302床の併せて482床を差し引くと118床が残るのみとなり、このことは、加茂病院と吉田病院を廃止せずにこの病院を作ることは、不可能であることを示しています。4市町村長の要望書では、三条にある厚生連三条総合病院の病床数199床に新たに401床を加えて、新たな600床の厚生連三条総合病院を作るということを考えておられるようですが、この案は、加茂病院と吉田病院を廃止ないしは実質廃止して、診療所同然のものにする以外に実現不可能な案であります。上記1で述べたように、4市町村長の要望書は、むしろこのことを明言しているのであります。
- このたび県央2次医療圏と魚沼2次医療圏で起こっている出来事は、もとはといえば、20床の救命救急センターを作り、その背後に300床程度以上の病院を置くというだけの話なのであります。しかるに、この件に、病院の再編や県立病院の民営化を絡めてお考えになるので、いつまでたっても話がまとまらないのだと思います。十日町病院関連のことも同様だと思います。
- 今から10年前の平成10年4月の新潟県の県立病院の医師数の合計は、375人でありました。これに対して、今年即ち平成20年4月の県立病院の医師数の合計は、396人で、21人も増えております。即ち、新潟県は、こうした面から見れば、必ずしも医師不足ではありません。大きな病院に必要以上に医師が集まりすぎているということだとも言えるのであります。
- 従って「現在、新潟県は医師不足だから、東京から医師を連れてくるため新幹線の燕三条駅に隣接して、救命救急センターを併設する病院を作らなければならない」ということには、必ずしもなりません。現に新発田病院と上越中央病院は、新幹線からは、極めて遠い所にあるのに、新発田病院には76人、上越中央病院には87人という十分な数あるいはそれ以上の大勢の医師が勤務しているのであります。
- 新幹線の燕三条駅に隣接した場所に救命救急センターを併設する病院を作るのでなければ、医師が来ないという考え方は、正しくありません。 私が最適地として提案している加茂市内の候補地は、燕三条駅から車で5分そこそこで到達できる距離にあります。この時間は、新潟駅からがんセンターまでの時間と同じくらいであり、新潟駅から新潟市民病院までの時間より短いと思います。
- 救命救急センターが建設された場合、県央のあらゆる地域から30分以内に到達できることが理想となります。この場合重要なのは、北陸自動車道ではなく、国道403号線のバイパスであります。救命救急センターが作られることになれば、国道403号線バイパスの整備は、国・県の最重要課題となり、一気に完成します。
- 私が最適地として提案している加茂市内の候補地は、この国道403号線のバイパス沿いにあります。また、三条市との境に隣接しており、国道403号線のバイパスが一気に完成した場合には、三条市役所からこの候補地までは、救急車で5分程度で到達できるものと思います。
- 平成13年に小泉内閣が出現して以来、日本海側の県と市町村は、地方交付税を驚くほど大幅に減らされ、新潟県の財政も極めて厳しい状況にあります。そうした状況の中で、県は、魚沼に救命救急センターを併設する病院を作り、県央に同様の病院を作り、また、十日町病院の問題を抱えておられます。しかも、県民の安心と安全を確保するためには、これらを短期間で実現していかなければなりません。そのためには、できるだけ経費をかけないことが絶対条件であります。このような状況の中で、燕三条駅に隣接した地価の猛烈に高いところに、莫大な土地購入費を払って、しかも、600床という巨大な病院を作ることは、不可能なことであります。
- 他方において、私が最適地として提案している候補地は、地価の安い場所で、しかも10町歩でもいくらでも、加茂市が無償で提供するのであります。
- さらに、この件のポイントは、20床の救命救急センターを併設する病院を作るというだけのことであって、600床の病院を作ることではないのであります。20床の救命救急センターを併設する病院としては、300床で足りるのであります。さらに県に財政的余裕がおありであれば350床でも400床でも450床でもよいと思います。病院の数の少ない下越2次医療圏でさえ、救命救急センターを併設する新発田病院は、458床なのであります。
- 県立加茂病院は、建て替えの時期に来ておりますので、県立加茂病院を移転改築して救命救急センターを併設することにすれば、県の財政としては一挙両得で、きわめて費用対効果が高いことになります。
- 私が最適地として提案している場所に、加茂病院を移転改築して救命救急センターを併設して、300床の病院(状況により350床、400床、あるいは450床とする)とすることにすれば、吉田病院は、廃止する必要がなくなります。県央に存在する200床前後のいくつかの病院も廃止の嵐に巻き込まれずに済みます。しかも最低の費用で目的を達成することができます。
以上に鑑み、私は下記のとおり強く御要望申し上げるものであります。
記
- 新たに600床の病院を建設することは、加茂病院と吉田病院を廃止ないしは実質廃止することであり、そんなことをする必要は全く無く、かつ、実現不可能なことである。また、燕三条駅の近くの猛烈に地価の高い場所に巨大な病院を作ることは、巨額の費用を必要とし、実現不可能なことである。
一方、加茂市が最適地として提案している場所は、燕三条駅にも近く、県央各地から短時間で到達できる場所であり、加茂病院の改築を兼ねることができるので、財政上一挙両得で、費用対効果が極めて大きい。
従って、実現可能な最良の方策として、加茂市が最適地として提案している場所に県立加茂病院を移転改築し、現在の180床に120床を追加して、救命救急センターを併設する300床の病院を作ること。この病院は、状況により、350床、400床あるいは450床にすることもありうるが、無理のない線に落ちつけること。 - この病院の土地は、加茂市が無償で提供すること。
- 県央2次医療圏においては、病院の再編・統廃合を行う必要はないので、これを行わないこと。
- 救命救急センターの建設の問題に、県立病院の民営化をからめないこと。
- 県立病院の使命は、県民の安心と安全のために、採算の合わない医療部門を担うことにあり、県立病院は、県政における最重要事項である。従って、県の一般会計から必要な支出を行うことは、極めて大切なことである。また、いわゆる地方公営企業の経理については、特殊な方式が定められており、病院会計の赤字と称するものは、それと同額の貯金即ち損益勘定留保資金でカバーされており、実際は赤字ではない。県立病院の民営化は、不採算部門を切り捨てることにつながり、また、病院の存続が簡単に停止されるおそれがあるので、慎重を期すべきことであり、軽々に行うべきではない。
- 特に、かなりの数の県立病院を民営化して、これを次々に厚生連即ち新潟県厚生農業協同組合連合会に経営させることは、県民にとっても、厚生連にとっても、危険であると思われる。厚生連は、農協をバックとする団体であって、設置目的の主体は農家の健康維持にある。また、昨今の農業が置かれている厳しい状況を考えれば、たくさんの病院を今後長期にわたり、経営して行けるのか疑問である。
- 4市町村長の要望書は、燕労災病院が廃止の方向にあるとの一つの判断を前提としているように思われる。燕労災病院の病床数は300床である。この300床に厚生連三条総合病院の199床を加えて、499床の公設民営の病院を作ることを骨子としているように思われる。
この案は500床ないしそれ以上の大きな病院を新たに建設することになる上に、燕三条駅の近隣に建設するということで、莫大な土地代がかかり、全体として途方もない費用がかかるものであり、県の財政状況からみて不可能に近いものである。
それならば、燕労災病院の300床に加茂病院の180床を加えて480床とし、加茂病院の建て替えと兼ねて、燕三条駅から5分そこそこで到達できる加茂市提案の候補地に、病院を建てる方が、県としては土地代が要らないこともあり、容易に実現可能な最良の案であると考える。

