10月11日告示、18日投開票の任期満了に伴う新潟県燕市議選(定数20)に、燕市社会福祉協議会副会長の新人、中山明美氏(64)=燕市富永=が立候補する意向を固めた。子育てや発達支援、障害福祉を重点に掲げ、「誰も取り残さず、安心して暮らせる燕市をつくりたい」としている。
中山氏は1961年燕市生まれ。燕南小学校、燕中学校を卒業し、三条商業高校を家庭の事情で中退した。市内の建築金物製造販売会社に勤務した後、吉田北体育文化センターで指定管理者の吉田北友会の職員として17年5カ月にわたり事務を担当し、ことし5月末で退職した。
地域活動では吉田北まちづくり協議会の事務を担うかたわら、燕市のご当地ヒーロー「方言戦隊メテオレンジャー」を立ち上げた。燕三条エフエムの番組「ウマそうなメテオ」では、ことし3月まで2年間、毎週パーソナリティーを務めた。
「フードバンクつばめ」の立ち上げにも携わり、約2年間、事務局長を務めた。ほかにも、子ども食堂や県央地域で障害のある子どもたちの就労体験を支援する「ぷれジョブひまわり」(現在の「えんジョブ・ひまわり」)、燕市内の障害のある人や不登校の生徒に勉強を教えるボランティア「えんかむ塾」、燕市分水地区のフードパントリーなどにもかかわってきた。
現在は燕市社会福祉協議会副会長や吉田北小学校の学校運営協議会委員を務めている。
地域活動の経験を市政へ
3年前に離婚してから「どんどん流れが変わっていった。その流れに逆らわずに生きてきたら、その方向が市議会議員になっていった。最終的に、もうやっぱり市会議員になるんだなと思ったのが、社会福祉協議会副会長の話をいただいた時だった」と振り返る。昨年6月、燕市社協副会長に就いた。
地域活動を通じて市民からさまざまな相談や要望を受け、市職員や市議会議員につないできた。副会長という立場になってから、以前よりも話を聞いてもらいやすくなったと感じたという。
「肩書きはいらないと思って生きてきたが、市民の声を行政に届け、物事を動かすには立場も必要だと実感した」と話す。
約20年にわたり、子育て世帯やひとり親家庭、障害のある人とその家族などとかかわってきた。そこで見えてきた課題を「もっと良くできるのではないか」と考えたことが、立候補を決断する背景になった。
昨年3月に公開された燕市のインターネットローカルメディア「燕録(つばろく)」への出演も背中を押した。
「孤育て」にしない仕組みを
最も力を入れたい政策に教育と子育てを挙げる。中山氏の孫には吃音(きつおん)がある。家族が相談先や支援に関する情報を得られず、2、3年にわたってひとりで悩んだ経験がある。
この経験から、悩みを抱える保護者が集える場所を整え、相談内容に応じて専門機関へつなぐ仕組みをつくりたいと考える。「子どもたちが元気に学校へ通える環境を整えたい。頭のいい子を育てるということではなく、一人ひとりが安心して過ごせることが大切」と言う。
公約には、子育て世代が相談しやすい体制づくり、保護者同士が支え合う場の充実、子育て支援情報の分かりやすい発信を掲げ、「孤育てにしないまち」を目指す。
乳幼児期からの発達支援では、医療、保健、保育、教育、福祉、労働などの連携を進め、発達に不安を抱える子どもと家族に寄り添いながら、切れ目のない支援体制を整える。
中山氏自身も家庭の事情から高校を卒業できなかった。「生きてきたなかの負の経験も、誰かのために生かすことができる」とし、家庭環境に左右されず、子どもが可能性を伸ばせる燕市を目指す。
「親ガチャで言うと、私は外れで生きてきた。外れなりに頑張ってきた経験で、皆さんの役に立つことができれば」とも話す。
フードバンクにかかわるなかで、親子関係の問題が生活困窮につながるケースがあることにも気づかされた。「お母さんたちに言っているのは、自分の親がこうあってほしいと、もう願う年齢じゃない。だから、自分がこうしてほしかったと思うお母さんになりなさい、と話してきた」と語る。
### 福祉や農業、観光も重点に
福祉分野では、障害のある人の個性を尊重し、必要な支援を必要なときに受けられる環境を整える。高齢者の孤立防止に向けて地域で支え合う仕組みを強化し、誰もが安心して暮らし、活躍できる「心のバリアフリー」を進める。
このほか、防災、防犯対策では地域、警察、行政の連携を進めるほか、農業の担い手育成と地産地消、農産物のブランド化にも取り組む。ものづくり、農業、商業、飲食、観光を結びつけた企画も構想しており、「燕の魅力を全国、世界へ発信し、交流人口を増やして地域経済を元気にしたい」と意欲を示す。
中山氏は「市民の小さな声をしっかり聞き、現場へ足を運び、誠実に行動する。人と人とのつながりを大切にし、燕市で生まれ育って良かったと思えるまちをつくりたい」と話している。
後援会は燕中時代の同学年の卒業生を中心に組織する。後援会長は同級生の杉山正氏。
