任期満了に伴う新潟県田上町長選が5月31日投開票され、現職の佐野恒雄氏(79)が新人の今井幸代氏(41)にわずか1票差で一騎打ちに競り勝ち、3選を決めた。佐野氏3,030票、今井氏3,029票。佐野氏は「家内にいつもドラマチックな男だねと言われた」と笑い、「オール田上でこの選挙戦を戦ってきた、その結果だと思っている」と勝利をかみしめた。
| 当選 | 無・現 | 佐野恒雄 | 79歳 | 3,030 |
| 無・新人 | 今井幸代 | 41歳 | 3,029 | |
| 22:45確定 投票率66.53% 投票者総数6,105 無効票46 | ||||
前回2022年の町長選は佐野氏が無投票で再選を果たしており、選挙戦は4人が立候補した18年以来8年ぶり。18年は佐野氏、今井氏とも新人で立候補し、佐野氏2,809票、今井氏2,513票で佐野氏が初当選した。
今回の投票率は66.53%で、前回選挙戦の71.04%を4.51ポイント下回った。今井氏は前回より佐野氏に迫ったといえ、最少差の1票で佐野氏を上回ることができず涙を飲んだ。
また前回、4人の立候補者の得票を合わせたうち佐野氏の占有率は38.7%と4割に届いていなかったが、佐野氏に投票しなかった有権者の票を今井氏は思ったほど取り込めなかったという見方もできる。
「これで決まり」から一転、再点検へ
佐野陣営の事務所には開票状況を見守る支援者ら数十人が集まり、刻々と伝わる票数にかたずをのんだ。午後10時20分ごろ、速報値で1票差が伝えられて事務所は一気にざわめいた。
しかし、あまりに僅差のため開票所では再点検が行われ、陣営は歓喜をいったん封印して最終結果を待った。
再点検に納得がいかず、陣営では「1票差なんてあるのか」、「数え直しで変わることがあるのか」と驚きと不安が交錯。支援者は万歳を待ちながらも、「早く万歳して帰りたい」と冗談をまじえつつ、張り詰めた空気のなかで結果を待った。
1票差の勝利に「信じられないような気持ち」
午後10時45分、再点検を経て佐野氏の当選が確実になると、事務所はようやく歓喜に包まれた。支援者から佐野氏に花束を手渡し、万歳三唱して喜びを爆発させた。
佐野氏は「さっき家内からいつもドラマチックな男だねと言われた」と始めた。「この1票差の勝利なんか信じられないような気持ち」と話し、厳しい選挙戦を支えた支援者、スタッフ、家族に感謝した。
「正直、申し上げると、敗戦の弁も勝利の弁も昨日から一生懸命、考えていたが、全部吹っ飛んでしまった」と明かした。
そのうえで「人生の本当に奇跡。オール田上でこの選挙戦を戦ってきた、その結果だと思っている」と述べ、「一緒にオール田上で、この田上町を笑顔あふれる町にしてまいります。しっかり働いてまいります」と3期目への決意を語った。
県央の首長らも祝福「ここからが本当の勝負」
事務所には近隣自治体の首長や関係者も駆け付けた。三条市の滝沢亮市長は「町長からオール田上という言葉が何回も出た。引き続きオール県央5市町村でさらに発展させていきたい」と祝福した。
町村会長の品田宏夫刈羽村長は「1票差だが、決まった。勝利をした」としたうえで、「今回、戦った向こう側にも、ほぼ同数の人たちがいる。これからはノーサイド。遺恨を残さず、佐野町長のもとでいいまちづくりに励んでほしい」と呼びかけた。
弥彦村の本間芳之村長は「こんなにハラハラドキドキはなかなか大変。本当に素晴らしい勝利だった」とたたえ、「オール田上、そして県央がまたひとつになって新しいまちづくり、村づくりをしていきたい」と話した。
燕市の佐野大輔市長は、同じ「佐野」の名字であることや、自身の市長選で掲げた「みんなで作る燕市」と佐野町長の「オール田上」に共通点があるとし、「もうひとつ、僅差で勝つというところも共通点。「ここで勝ったということが大事。これからノーサイドでやっていくということで佐野町長と一緒にやっていきたい」とエールを送った。
大平一貴県議は「ここからが本当の勝負。佐野町長を中心にぜひ頑張っていただきたい」と祝った。
「勝ちは勝ち」 だるまに目入れ、乾杯
高橋勝之後援会長は乾杯のあいさつで「1票差ということでも、勝ちは勝ち。当選は本当に喜ばしい限り」と述べ、「これから3期目の始まり。どうか皆さん、これ以上のご協力をお願いしたい」と呼びかけた。支援者は声高らかに乾杯、だるまの目入れを行った。
1票差という町をまさに二分する接戦を制した佐野氏。歓喜のなかにも、ほぼ同数の民意を受け止める重さがにじむ勝利となった。
