通信販売大手の株式会社ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市・高田旭人代表取締役社長兼CEO)は2日、家電メーカーの株式会社ツインバード(新潟県燕市・野水重明代表取締役社長)に対する公開買付け(TOB)の提案を取り下げると発表した。8月31日にツインバード取締役会がTOBへの反対を表明したことを受けたもの。ジャパネットが公表した見解では、提案の実現に向け「できることは最大限行ってきた」とする一方、ツインバード側の検討過程について疑問や残念との認識も示した。
ジャパネットは6月19日、ツインバードを完全子会社化するため、1株800円でTOBを行う予定を公表した。ただし、ツインバード取締役会の賛同を実施の前提としており、賛同が得られなければ提案を取り下げるとしていた。
これに対してツインバードは8月31日、取締役全員の一致で反対を決定した。ジャパネット傘下に入ることで量販店との取引に悪影響が出る可能性をはじめ、既存顧客や従業員の離反、成長分野のBtoB事業の停滞、燕三条地域のサプライチェーンへの影響などの懸念を示した。
また、ジャパネットが示した相乗効果について具体的、定量的な裏付けが十分でないと判断。同日、発表した新中期経営計画を自社で進める方が企業価値や株主共同の利益につながるとした。
30億円の発注を確約、買付価格の大幅引き上げも検討
ジャパネットが2日に公表した見解では、両社は7月9日付で秘密保持に関する確認書を取り交わし、書面による質疑を重ねた。ジャパネットはツインバードのBtoB事業を成長分野として評価し、販売力とツインバードの技術力を組み合わせることでヒット商品を生み出せると説明していたという。
8月10日には、TOB成立を条件に法的拘束力を持つ形で、全自動コーヒーメーカー10万台、単機能電子レンジ5万台をはじめ、掃除機、炊飯器、ドラム式洗濯機など総額30億円のツインバード製品を発注すると確約した。
8月26日には当初示した1株800円の公開買付価格を「大幅に引き上げることを検討している」とツインバード側へ伝えていたことも明らかにした。
プライベートブランドとして検討する3商品だけでもツインバードの売上高を約40%伸ばせるとの試算を示し、両社拠点の相互見学やツインバードの研究開発拠点見学、取締役会で説明する機会も求めていたとしている。
「公開買付価格引き上げの機会与えられず」と残念がる
一方、ジャパネットは今回の見解で、ツインバードが反対理由に挙げた量販店からの懸念の声について、8月31日の反対表明まで共有されなかったと指摘。こうした懸念が事前に示されていれば、取引継続の契約などを含め、リスクを具体化させない方法を検討できたとの考えを示した。
また、ツインバードが8月31日に発表した新中期経営計画についても、それまでの協議で内容を知らされていなかったと説明。ジャパネットが8月26日に買付価格の大幅な引き上げを検討すると伝えた後も、価格引き上げについて実質的な交渉はなかったとして、「公開買付価格引き上げの機会を与えず」反対を決めたことに、株主利益の観点から疑問を示した。
ただ、ツインバード取締役会の賛同をTOB実施の前提としていたことから、ジャパネットは反対表明を「真摯に受け止め」、提案を正式に取り下げる。
ジャパネットはツインバードについて「長年の経験と高い技術力に裏打ちされた高品質かつ魅力的な商品を生み出す大切な企業」であるとの考えは変わらないとし、今後も日本の製造業や地域に根差した産業基盤を尊重しながら商品、サービス開発に取り組むとしている。
