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人間国宝・玉川宣夫さんを軸に親子3代の作品ずらり 燕市産業史料館の大型連休の企画展は「玉川宣夫 三代展」

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新潟県燕市大曲の燕市産業史料館で21日、企画展「玉川宣夫たまがわ のりお 三代展」が始まった。燕を代表する金工作家で人間国宝の玉川宣夫さん(84)を中心に、長男の達士たつしさん(56)、孫の佳太けいたさん(31)の初めて親子3代がそろい踏みした鍛金作品100点余りを展示。会期は5月24日まで、5月10日には3人による作品解説会も開かれる。

燕市産業史料館の「玉川宣夫 三代展」で玉川達士さん
燕市産業史料館の「玉川宣夫 三代展」で玉川達士さん

人間国宝を頂点に並ぶ3人の歩み

宣夫さんは1942年旧下田村(今の三条市)生まれ。59年に玉川堂ぎょくせんどうへ入り玉川家の養子となった。上京して重要無形文化財「鍛金たんきん」保持者の関谷四郎に師事したのち、再び玉川堂で研さんを積んだ。

96年に独立し、2002年には正倉院宝物「銀薫炉」の復元に携わり、10年に重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝に認定された。

達士さんは1970年燕市生まれで88年に玉川堂へ入社、佳太さんは94年燕市生まれで2013年に玉川堂へ入り、それぞれ制作を続けている。

燕市が誇る伝統工芸の旗手「玉川堂」で腕を磨く

玉川堂は、燕市が世界に誇る伝統工芸の旗手。1816年創業から210年になり、江戸時代から続く「鎚起ついき銅器」の技術を継承し、明治期にはウィーン万博への出品や皇室への献上など、早くから国内外でその名を馳せてきた。

玉川宣夫作「木目金花瓶」第63回日本伝統工芸展
玉川宣夫作「木目金花瓶」第63回日本伝統工芸展

鎚起銅器は玉川堂の真骨頂。1枚の銅板を金鎚で叩き起こして形を作る技法だ。とくに、注ぎ口を本体と一体で叩き出す「口打出(くちうちだし)」は、玉川堂の高度な技術を象徴する。

宣夫さんは「職人」を「芸術家」へ引き上げ、玉川社長は伝統工芸をラグジュアリーブランドへ

宣夫さんは「職人」を「芸術家」へと引き上げた象徴だ。宣夫さんの代名詞ともいえる技術が「木目金」。江戸時代初期に日本で生まれた異なる色の金属を重ね合わせて鍛造し、木目のような美しい模様をつくる手法で、宣夫さんはこれを一級の芸術に昇華させた。

一方で玉川基行社長は、伝統工芸をラグジュアリーブランドに引き上げた。国登録有形文化財に登録された鍛金場からは全国から集まる若手職人が槌音を響かせている。

今回の企画展は、宣夫さんの独立30年を記念する意味合いも込めた。単なる親子展ではなく、3代にわたる技の継承と広がりを見せる場になっている。

玉川達士作「木目金花瓶」第43回伝統日本金工展・石洞美術館賞受賞(2016年)
玉川達士作「木目金花瓶」第43回伝統日本金工展・石洞美術館賞受賞(2016年)

「3代続けて入るのは珍しいかもしれない」

21日、会場で来場者を迎えた達士さんは、「本家じゃないのに3代続けてるっていうのは珍しいかもしれない」と話す。自身も佳太さんも家業を継げと強く言われたわけではなく、それぞれが当たり前のように自然な流れでこの仕事に入ってきた。

展示作品は花瓶を中心に、香炉や水差しなども並ぶ。宣夫さんは展覧会に出す作品となると花瓶が多くなる一方、最近は香炉やきせるにも取り組んでいるという。

玉川佳太作「鍛銅円窓掛花入れ」雪梁舎 工芸2025(2025年)
玉川佳太作「鍛銅円窓掛花入れ」雪梁舎 工芸2025(2025年)

達士さんは「展覧会に出す作品の花瓶しか作れない」と話し、通常の仕事の合間に年2、3点ずつ制作を重ねてきた作品を今回の展示に持ち込んだ。

佳太さんの作品には、工芸展への出品を意識して作ったもののほか、昔ながらの水差しや香炉など、伝統的な形を学ぶ中で生まれた作もある。若い世代が型を学び、そこからどう自分の表現をつくっていくのか、その途中経過も含めて見られる。

受け継ぐだけではない、それぞれの葛藤

達士さん自身も、東京などの展示で先輩作家から「親父と同じようなのばかりやってる」と見られる苦しさを感じたこともあった。自分では変えているつもりでも、外からは似て見える。その中でどう自分らしさを出すか、終わりはない。

佳太さんについても、祖父や父と並べて見られることへの遠慮や気後れがあったようで、当初は3代展に前向きではなかったと言う。それでも社内から背中を押され、今回の開催につながった。名工の家に生まれ、同じ技の道を歩むことの重みが垣間見える。

展示会場
展示会場

3人そろって見られる機会の貴重さ

宣夫さんと達士さんの木目金の作品はあるが、佳太さんは1点だけ木目金を手がけたことがあるものの会場にはない。3人の木目金が見られないものの、3人の作風や技術を見比べられる貴重な機会だ。

企画展の準備は大変だった。会場にはまだ出し切れていない作品もあるが、「見てくれる人が、これだけそろって見られてよかったって言ってくれれば、それでいいかな」と達士さんは言う。

展示会場
展示会場

人間国宝の重厚な作品、円熟味を増した2代目の仕事、模索しながら前に進む3代目の作。その違いとつながりが同じ空間に並ぶことで、玉川家のものづくりが単なる技術継承ではなく、それぞれの世代が自分の表現を探し続ける営みが見えてくる。

企画展「玉川宣夫 三代展」は燕市産業史料館別館で5月24日まで。観覧料はおとな400円、小中高校生100円。開館は午前9時から午後4時半まで、月曜休館。5月10日午後2時から3人による作品解説会が開かれる。問い合わせは燕市産業史料館(0256-63-7666)。

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