来年夏の国道289号八十里越の暫定開通を見据えた「西潟為蔵記念 地方創生フォーラム 八十里越100年プロジェクト」が1日、新潟県三条市庭月の諸橋轍次記念館で開かれた。約80人が来場し、三条観光協会の大竹啓五会長による講演や、地域で活動する人たちのトークショーを通じ、開通を観光振興や持続可能な地域づくりにつなげる方策を考えた。

観光の前に地域の暮らし 「情熱を持った人たち」が力に
新潟県三条市と福島県只見町を結ぶ八十里越の開削に尽力した三条市下田地域出身の政治家、西潟為蔵(1845-1924)を顕彰するNPO法人西潟為蔵会(弥久保宏理事長)と三条市が主催した。
弥久保理事長はあいさつで、同会が設立8年目を迎え、フォーラムは今回で7回目になると話した。今回掲げた「100年プロジェクト」には、八十里越の物流が約100年を経て復活することと、開通を今後の持続可能な地域づくりに生かすという2つの意味を込めたと説明した。
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鉄道の発達や災害などによって往来が途絶えていった道が、再び両県を結ぶことに期待。西潟為蔵が地域のために力を尽くしたように、開通を地方創生に役立てたいとした。民間で準備を進める人たちの取り組みを聞き、来場者も交えて今後を考える場にしたいと呼びかけた。
観光の前に地域の暮らし 両県を一つの地域として
第一部は、長野温泉嵐渓荘代表取締役でもある三条観光協会会長の大竹さんが「八十里越開通と観光振興の課題」をテーマに講演した。八十里越はもともと物資を運び、人々の暮らしを支えた道だったとして、開通後もまずは生活道路として新潟、福島両県の住民が行き来することが大切だとした。
買い物や通院などの利便性向上にふれ、「今、暮らしている人たちの生活が良くなるっていうのが何よりも大事」と強調。観光では福島県側もひとつの地域としてとらえ、互いの魅力を紹介し合うことで、地域全体の観光価値を高めていく考えを示した。

三条の強みには、ものづくり企業が連携する工場見学や「燕三条 工場の祭典」、下田の自然、農産物、米、酒などを挙げた。その一方、行政だけに頼るのではなく、民間から店や事業を始めようとする人が増えることに期待。「必要なのは情熱を持った人たち」と話し、観光協会としても資金面の情報提供や人とのつながりづくりで、新たな挑戦を後押ししたいとした。
古道の自然や歴史も観光資源に
大竹さんは小学6年生の時、学校行事で八十里越の古道を歩いた写真も紹介。ブナの原生林や池、山々の景観、歴史が残る古道の価値を語り、新しい国道の開通後も、長い目で保全、整備していく必要性を訴えた。
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景色を見るだけでなく、地域をよく知る人の案内によって、その土地の見え方が変わるとして、地元ガイドの役割も重視。古道周辺を歩いて楽しめる環境づくりや、八木ヶ鼻を岩壁の真下から見上げられるようにする階段の整備なども、自身の構想として紹介した。
八十里越フェスに延べ4713人 次世代につなぐ祭りへ

トークショーは同会の加藤一芳さんが進行し、大竹さん、八十里越フェス実行委員会の山口晃さん、熊倉善幸さんが登壇した。
山口さんと熊倉さんは、10月24、25の2日間開いた八十里越フェスを報告。雨に見舞われながらも、野外イベントと屋内のハロウィンイベントを合わせ、延べ4713人が来場した。
熊倉さんは、八木ヶ鼻を背景にした音楽フェスを開きたいという思いが出発点だったと説明。開通を目前にした地域の人間として行動し、自分たちの代で終わらせず、下田で続いていく祭りに育てたいと話した。
フェスでは森町小学校の児童が育てた米や、児童が考えたおにぎりを販売。下田米をえさにマスを釣り、三条の刃物でさばき、下田の炭で焼いて食べる体験など、地域の食とものづくりを結び付けた。
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山口さんは、児童とイベントの発表内容や広報を考えたり、専門学校生が企画段階から参加したりする取り組みも紹介。地域を知り、若い世代が活躍する機会にもつなげているとした。

車やバイクで訪れたくなる道に 広域周遊も課題
熊倉さんは開通後の構想として、八十里越の景観を生かし、車やオートバイの愛好者が訪れたくなる「聖地」に育てたいと提案した。
愛車で走る姿をドローンなどで撮影する企画を通じ、訪れた人自身に景色や体験の魅力を発信してもらうことを想定。金属加工業が集積する三条と自動車関連企業とのつながりを生かしたPRにも期待を寄せた。
加藤さんは、景色を楽しんだり写真を撮ったりするために車を止められる場所の確保など、観光資源を生かす工夫も必要だと指摘した。
会場からは、加茂市など周辺地域との連携を求める意見も出た。大竹さんは、三条、加茂、燕、田上、弥彦の地域で地図づくりを進めると説明。下田が単なる通過点にならないよう、周辺地域と手を取り合う必要があるとした。

弥久保理事長も、県央地域と会津地域を結ぶ広域観光圏の形成に向け、モデル周遊コースを盛り込んだハンドブックの作成を三条市に働きかけていると紹介。開通による人の流れを、地域内の周遊や宿泊につなげる考えを示した。
第3部は三条市の音楽ユニット、トリプルXのミニライブ。シンガーソングライターの熊倉さんが作詞作曲した西潟為蔵を顕彰するオリジナル曲「八十リバティ」に合わせてチアチームのRAINBOW STARSが踊り、歌とダンスでも開通への期待を盛り上げた。




