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全国の高校理科教員ら304人が三条に集結 43年ぶりの新潟大会

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「探究心を育む理科教育」を主題にした令和8年度(2026年度)全国理科教育大会・第97回日本理化学協会総会新潟大会の開会式が5日、新潟県三条市上須頃の三条市立大学で行われた。全国から高校の理科教員ら304人が参加。新潟県での開催は昭和58年(1983)の第54回大会以来、43年ぶりとなった。

令和8年度(2026年度)全国理科教育大会・第97回日本理化学協会総会新潟大会の開会式
令和8年度(2026年度)全国理科教育大会・第97回日本理化学協会総会新潟大会の開会式

大会は第65回北信越理科教育研究会新潟大会と令和8年度新潟県高等学校教育研究会理科教育研究会を兼ね、4日から6日までの3日間。「『探究心を育む理科教育』―地域産業との連携で探る、新たな価値の創造に向けて―」を主題に、研究協議や研究発表、講演、燕三条地域を中心としたコース別研修を行っている。

ものづくりの燕三条で理科教育の未来を考える


2日目の5日は開会式で始まった。主催者を代表して日本理化学協会の上村礼子会長と、新潟大会運営委員長で県立新潟北高校・碧高校校長の田邊康彦さんがあいさつした。

上村会長は、7月28日に発生した熊本地震や、能登半島地震と奥能登豪雨の被災者に見舞いを述べ、被災地の一日も早い復旧、復興を願った。

大会の主題に触れ、「ものづくりの拠点である燕三条地域で本大会を開催することは、理科教育と地域産業とのつながりを実感し、科学的な見方、考え方を社会に生かす学びのあり方を考えるうえで大変、意義深い」と述べた。

日本理化学協会の上村礼子会長
日本理化学協会の上村礼子会長

大学入学者に占める理工系の割合が19%にとどまり、学士課程で理工系を専攻する割合も男性29%に対して女性8%と大きな男女差がある現状を紹介。一方、2040年には大学、大学院卒の理系人材が約120万人不足するとの推計を挙げた。

生徒一人ひとりが自ら問いを見いだし、仲間や地域社会と関わりながら粘り強く探究する理科教育の重要性を訴え、「高校の理科教育関係者は重大な責任感と使命感をもって、理科教育の一層の進展を図る必要がある」とした。

43年ぶりの開催を手探りで準備

田邊運営委員長は、新潟県での開催について「ほぼ半世紀近くに及ぶ手探りの状態から企画、準備を進めてきた」と振り返り、全国からの参加者を歓迎した。

一昨日まで長岡市で開かれていた長岡花火を「圧倒的な光と音の化学・物理反応の饗宴」と表現。参加者に配られた紺色の手提げ袋は、県立月ヶ岡特別支援学校見附分校クラフト班の生徒が、消しゴムはんこをひとつずつ押し、アイロンで定着させて製作したことも紹介した。

三条市について「古くから金物、ものづくりのまちとして全国にその名を知られ、伝統と革新が融合する先端的な産業地域」と説明。三条市立大学でも地域産業と深く結びついた実践的な教育研究が展開されているとした。

6日のコース別研修では刃物や金属加工、新潟の酒造りなどに触れるプログラムを用意。「子どもたちの探究心を刺激し、それを確かな資質、能力へと高めていく理科教育の役割はますます大きくなっている。理科教育の未来を照らす有意義な大会となることを願う」と述べた。

地域産業との連携に期待

松本洋平文部科学大臣の祝辞は、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官の小林和人さんが代読した。

祝辞では、不確実で変化の大きい時代に対応できる理工・デジタル系人材や、新たな価値を生み出すイノベーション人材の育成を重視。理科を学ぶ意義や有用性を実感させ、関心を高めるため、日常生活や社会との関連を重視するとともに、科学的に探究する学習を充実させる必要があるとした。

地域産業との連携については「子どもたちに学習内容と社会との結びつきを意識させる大きなきっかけになる」とし、大会で得られた研究成果や授業実践が全国で共有され、高校理科教育の充実、発展につながることに期待した。

新潟県教育委員会教育長の祝辞も代読された。燕三条地域について、世界に誇る金属加工をはじめ、多様なものづくり産業が集積し、先端科学技術を取り入れながら新たな価値を創造してきた地域と紹介した。

理科教育と地域産業が連携することで、生徒が身近な事例を通して学習内容と先端科学技術との関係を理解し、理科が社会を支えていることを実感できると指摘。「自ら問いを立て、科学的に探究する方法を用いて解決策を導き出し、新たな価値を創造できる人材を育成することが求められている」とした。

科学の広場も
科学の広場も

教育功労者や優れた研究を表彰

開会式に続いて表彰式が行われ、長年にわたって理科教育に尽力した教育功労者を表彰した。受賞者を代表し、兵庫県立北須磨高校校長の津田量さんに上村会長が表彰状を手渡した。記念品には、新潟県の金属加工技術を生かしたタンブラーが贈られた。

優れた研究実践をたたえる日本理化学協会賞では、化学部門と探究・教育部門の2人を表彰した。特別功労賞には8人が選ばれた。

総会では令和7年度の事業、決算、会計監査を報告し、令和8年度の事業計画と予算などを承認。令和9年度の全国理科教育大会を神奈川県で開くことも決めた。

研究協議や地域産業を巡る研修

このあとは三条市立大学のアハメド・シャハリアル学長が「探究心が拓く未来―理科教育×次世代を牽引する地域産業の融合による価値創造―」と題して記念講演した。個別最適な学び、観察・実験の工夫、地域産業との連携などを取り上げる7分科会の研究協議も行われた。

最終日の6日は7会場で研究発表を行い、午後から希望者がコース別研修に参加する。研修では燕三条地域の刃物や金属加工をはじめ、新潟県内の酒造りなどに触れ、地域産業を理科教育に生かす可能性を探る。

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