新潟県の燕三条地域で工場を一斉に開放する「燕三条 工場の祭典」が、「第10回ジャパン・ツーリズム・アワード」の観光庁長官賞に決まった。過去最多となる国内外272件の応募のなかから、職人と使い手が直接、対話する機会の創出や、ものづくり文化の継承、次世代の担い手育成などが評価された。
「燕三条 工場の祭典」実行委員会(捧開維実行委員長)は7日夜に開いた参加企業説明会で受賞を報告。今年の本祭を成功させるとともに、開催期間の10月1日から4日までの4日間にとどまらない「365日の産業観光」の確立につなげる考えを示した。
職人と使い手が直接対話
ジャパン・ツーリズム・アワードは、日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)が主催する「ツーリズムEXPOジャパン」と連動し、観光を通じた地域振興などの優れた取り組みを表彰する制度。
8月28日に審査結果が発表され、応募272件のうち52件が最終審査に進んだ。最高賞の内閣総理大臣賞1件をはじめ、国土交通大臣賞、経済産業大臣賞が各1件、次いで観光庁長官賞には「燕三条 工場の祭典」を含む3件が選ばれた。
表彰式は9月24日、東京ビッグサイトで開幕する「ツーリズムEXPOジャパン2026」のオープニングセレモニーに続いて行われる。
選考では、工場を継続して開放する取り組みが年々磨かれていると評価された。産業観光を通じて職人と製品の使い手が直接対話し、ものづくり文化の継承と経済、環境の循環を実現していることが高く評価された。
さらに、若手経営者を中心とした運営体制への刷新や、教育旅行の強化による次世代の担い手育成にも積極的に取り組み、受け入れ件数も増えているとして、「持続可能な地域発展に資するモデルとして期待される」と講評された。
2013年から工場を開放 これまでも高い評価 現行体制で初受賞
「燕三条 工場の祭典」は2013年にスタートした。金属加工をはじめ、鍛冶、木工、印刷、農業などの現場を一般に開放し、来場者が職人の仕事を間近で見学したり、ものづくりを体験したりするオープンファクトリーイベントとして発展してきた。
開始当初は54事業所だったが、2019年には113事業所、ことしは過去最多の158社が参加。「人が、ひらく。」をテーマに開かれる。
これまでも産業観光や地域活性化の分野で高い評価を受けてきた。2014年に産業観光まちづくり大賞の最高賞となる経済産業大臣賞と、ふるさとイベント大賞の選考委員特別賞を受賞。2017年には地域再生大賞の優秀賞を受けた。
デザインや広報のアプローチでも高く評価され、2014年にはグッドデザイン賞(地域社会づくり・地域活性化部門)を受賞したほか、2019年に「German Design Award」の金賞、2022年には世界三大デザイン賞のひとつ「レッド・ドット・デザイン賞」のブランド&コミュニケーションデザイン部門で、部門最優秀賞「Best of the Best」受賞に輝いた。
「燕三条 工場の祭典」は2024年から、燕商工会議所と三条商工会議所の両青年部を主体とした実行委員会が運営しており、現行体制になってから3年目、初めての大きな受賞となった。
捧実行委員長は評価された点について、「職人と使い手が対話できる機会をつくり続けたこと」「ものづくり文化を次世代につなぎ、地域に人やデータの循環を生み出したこと」「若い世代を中心とした運営や教育との連携など、次の担い手を探す取り組み」の3点を挙げた。実際の発言でも、単なる集客イベントではなく、工場を開き続けてきた地域全体の積み重ねが評価されたとの認識を示している。
「単にたくさんの人が来るイベントだから評価されたわけではない。皆さんが工場を開き続け、来場者と触れ合い、地域全体で積み上げてきたものが、持続可能な地域づくりのモデルとして評価された」とした。
さらに、「これは決して実行委員会だけでいただいた賞ではなく、ここにいる皆さま全員で勝ち取ったもの。この受賞をゴールにしたくない」と強調した。
「365日の産業観光」へ
捧実行委員長は今後について、「目指したいのは10月の4日間の本祭だけでなく、365日、燕三条のものづくりに触れられる地域にしていくこと。『産業観光地といえば燕三条』と言われる地域を、皆さんと一緒につくっていきたい」と述べ、「受賞を追い風に、今年の本祭も一緒に盛り上げていただきたい」と呼び掛けた。
実行委員会は今回の受賞を、工場の祭典が単なる地域イベントから、全国的に評価される産業観光の取り組みへと新たな段階に入る契機と位置付けている。
ツーリズムEXPOジャパンにも出展し、観光事業者や観光への関心が高い来場者に、燕三条ならではの工場見学、職人体験、地域文化を組み合わせた産業観光を発信する。全国から注目が集まる今回の受賞を追い風に本祭への誘客を進め、その先には年間を通じて人を呼び込む「365日の産業観光」と、地域一体となった持続可能なビジネスモデルの構築を目指す。
関連リンク
- 第10回「ジャパン・ツーリズム・アワード」|ツーリズムEXPOジャパン(新しいウィンドウで開く)
- 燕三条 工場の祭典2026 | 公式サイト(新しいウィンドウで開く)



