燕市産業史料館(新潟県燕市)に移築されている土蔵(旧工芸館)が古民家再生の第一人者、カール・ベンクスさん(82)のデザインによる新たな産地の魅力を発信するミュージアムショップに生まれ変わって5月1日、リニューアルオープンする。
この土蔵は燕市三王渕村の庄屋の米蔵として1900年(明治33)建築された。1986年(昭和61)に史料館に移築され、「工芸館」として活用されてきたが、2019年(令和1)の史料館の大規模リニューアルで工芸館としての役割を終え、倉庫として使ってきた。
歴史ある建造物でもあり、倉庫に使っているのはもったいないと、以前から設置を検討していたミュージアムショップとしての活用を計画。内閣府から令和6年度自治体SDGsモデル事業の一環で土蔵をリニューアルを実施した。全体の事業費は5,981万円で、うち土蔵のリノベーションが3,350万円。燕市産業史料館にカール・ベンクスさんデザインのミュージアムショップがリニューアルオープン
各地で古民家再生を手がけ、古民家を使った地域づくりで知られるドイツ出身で十日町市に住む建築士カール・ベンクスさんにデザインを依頼した。改修工事は24年10月に着工し、この3月に完成した。
1階16坪、2階4坪で延べ床は20坪。壁は断熱材と石こうボードを組み込み、しっくいを施したカウンターや陳列台を設置した。受付窓口で販売している各種図録、はがき、市内の職人 が製作した鎚起銅器製品、体験工房館で販売している 錫(すず)製品などの土産品や新たに企画展に関連した商品の取り扱いも行う。
燕市産業史料館にカール・ベンクスさんデザインのミュージアムショップがリニューアルオープンこの3月にカール・ベンクスさんによるワークショップ「親子でアートな土壁塗りワークショップ」を行い、参加者が製作した690×840ミリの木枠3つに土壁のアートパネルも展示した。
令和6年度自治体SDGsモデル事業であわせて体験工房館にデジタル機材のレーザーマーカー2台と3Dプリンター3台を導入した。科学、技術、工学、芸術、数学の5つの分野を統合的に学ぶ「STEAM教育」として「史料館クラブ」をスタートする。
中学生を中心に15人ていどを定員にことし5月末まで参加者を募り、9月から毎週土曜の午後3時から2時間ていどの活動を予定。子どもたちがデジタル機材を使った新たなものづくりの手法にふれることで創造力を育む機会を提供する。子どもたちが自由にデジタル機材を操作できるスペースは珍しい。いずれも問い合わせは燕市産業史料館(0256-63-7666)。